活動レポート
2020年2月

2020.2.19

令和2年 第1回定例会 総括質問の報告

2月19日、広島市議会・令和2年第1回定例会(本会議)で、会派を代表して総括質問を行いました。  
発言内容は、以下の8項目です。

1.「新型コロナウイルス感染症について」

2.「被爆75周年記念事業と旧広島陸軍被服支廠について」

3.「SDGsの普及・啓発について」

4.「オリンピックを契機としたスポーツ振興について」

5.「成年後見制度の利用促進について」

6.「食品ロス削減について」

7.「保育環境の充実と多文化共生について」

8.「小中一貫教育校への移行について」

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1. 新型コロナウイルス感染症について(1)

質問:

(1)昨年12月、中華人民共和国湖北省武漢市で初めて報告された 「新型コロナウイルス感染症」は瞬く間に世界中に広がり、厚生労働省の公表資料では、2月18日現在、日本を含む世界29の国と地域で、あわせて7万3千人以上の感染者と千八百人以上の死亡者が報告されています。
 この広がりを受け、世界保健機関(WHO)の緊急委員会は、1月31日未明、新型コロナウイルス関連肺炎の発生状況が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に該当すると発表しました。
 我が国においても2月18日現在、武漢市からのチャーター便帰国者と横浜港に寄港したクルーズ船の旅客等を含め、616人の感染者が報告され、うち1人の死亡が確認されています。 新型コロナウイルス感染症は、新しい感染症で、感染力や病原性が明らかになっておらず、また、特効薬やワクチンもないため、我々市民は不安を抱きながら生活をしています。
 そこでお伺いします。
 新型コロナウイルス感染症はどのような病気で、どのような症状が出るのでしょうか。

答弁:

(保健医療担当局長)1.ヒトに感染するコロナウイルスは、SARSのほか、一般の風邪の原因となるコロナウイルス等、あわせて6種類が確認されていましたが、新型コロナウイルス感染症は、これまでに確認されていない新種のコロナウイルスが原因と考えられる呼吸器系の感染症です。
 2.感染者の症状としては、一般社団法人日本環境感染学会の「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド」によると、発熱、咳、倦怠感、呼吸困難などが比較的多くみられ、頭痛や下痢などを伴う例も報告されています。
 また、国内の感染者は、軽症例や症状がない者が多くを占めていますが、死亡例や重症例も報告されており、高齢者や、糖尿病、心不全等の基礎疾患のある方などのリスクが高くなる可能性が考えられています。 

1. 新型コロナウイルス感染症について(2)

質問:

(2)感染を防ぐためにはどのようなことに気を付ければよいか。また、疑わしい症状が出た場合、どのように対応すればよいか教えてください。

答弁:

(保健医療担当局長)1.新型コロナウイルス感染症は、感染者のくしゃみや咳などと一緒に放出されたウイルスを、口や鼻から吸い込むことで感染する「飛沫感染」と、ウイルスが付着した手で口や鼻を触ることにより、粘膜から感染する「接触感染」が考えられています。このため、感染の予防には、咳やくしゃみをする際、マスクやティッシュ等で口や鼻をおさえる咳エチケットや、手洗いの励行が重要となります。
 2.また、疑わしい症状が出た場合には、適切な医療を受けることと、他者へ感染をさせないことが重要です。このため、37.5度以上の発熱や、咳などの呼吸器症状があり、発症前14日以内に新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている中国湖北省や浙江省に滞在等していた者と濃厚接触歴がある方や、そうした接触歴がなくても、37.5度以上の発熱が4日以上続く方、あるいは、強いだるさや息苦しさがある方などは、まずは速やかにお住いの区の保健センターの相談窓口へ連絡をいただき、相談窓口において、状況をお伺いした上で、必要に応じて診療体制が整った医療機関で受診していただくことになります。

2. 被爆75周年記念事業と旧広島陸軍被服支廠について(1)(2)

質問:

(1)次に、「被爆75周年記念事業と旧広島陸軍被服支廠について」お伺いします。
 1945年8月6日、広島に「絶対悪」である原子爆弾が炸裂し、罪もない多くの人々の命が奪われ、街は破壊し尽くされました。かろうじて生き延びた被爆者は、心身に深い傷を負いながらも、自らの体験を語り、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」との思いと平和への願いを訴え続けてまいりました。
 こうした被爆者の思いにもかかわらず、世界にはいまだ約1万4千発の核兵器が存在し、北朝鮮の核・ミサイル問題や核兵器保有国と非保有国との溝の広がりなど、核兵器廃絶への動きも停滞したままであります。
 今年、広島は被爆75周年となります。
 私たちの街、広島は、「75年間は草木も生えない」とまで言われた壊滅的な廃墟から、幾多の先人たちのたゆまぬ努力によって、緑あふれる豊かな国際平和文化都市へと復興を成し遂げることができました。
 この節目の年に当たり、私は、改めて、核兵器廃絶と世界恒久平和を願う「ヒロシマの心」をしっかりと胸に刻み、その実現に向けて、惜しみない努力を重ねいくことを決意しております。
 そのような中、広島市においては、被爆75周年事業として、平和首長会議総会や広島大学旧理学部1号館に関する企画展の開催、旧中島地区被爆遺構の展示整備など様々な記念事業の計画があります。
 とりわけ、東京オリンピック・パラリンピックに合わせたヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展の開催については、我が会派としても非常に強い関心を持っているところです。 このヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展は、オリンピック・パラリンピックを機に世界中から日本を訪れる多くの人々に原爆被害の凄惨さや核兵器の非人道性、平和の尊さを訴える上で大変重要な 取組であると考えています。      
 そこでお伺いします。
 被爆75周年記念事業として開催されるこの東京オリンピック・パラリンピックに合わせたヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展はどのような内容を考えているのか、お聞かせください。
(2)また、平和の思いを伝える手段には様々なものがあります。特に、音楽には国境がなく、言語・宗教・民族の壁を乗り越え調和を生む力があるとも言われています。
 こうした音楽を通して平和を発信していくことも大変意義があるものと考えます。 ついては、この原爆・平和展にあわせ、被爆ピアノの演奏会を開催し、被爆の実相に触れてもらう機会の提供を図ってみてはどうかと考えますが、本市の御見解をお聞かせください。

答弁:

(市民局長)1.被爆75周年に当たる本年は、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催により、国内外から多くの人が東京を訪れます。これを好機と捉え、本年度、同大会の開会期間に合わせて、文京区、千代田区の都内2か所に埼玉県飯能(はんのう)市を加えた3か所において、「ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展」を長崎市と共同で開催することとしています。
 2.その内容については、原爆・平和展では初めての展示となる8時15分で止まった腕時計など、被爆の惨状を表す遺品や、被爆者の脳裏に焼き付いた情景を本人が描き記した原爆の絵を多く展示するほか、平和記念資料館で公開している映像を上映するコーナーを設置するなど、被爆の実相に係る内容を拡充します。また、平和首長会議の活動について、次代の平和活動を担う青少年の育成を始め、核兵器廃絶に向けた国際世論の醸成を促進するための取組を詳しく紹介するなど、平和への取組に係る内容を拡充することとしています。
 3.また、議員から御提案のありました被爆ピアノの演奏会については、東京都千代田区での原爆・平和展の開催にあわせて、千代田区の主催事業として被爆ピアノコンサートを開催するよう調整を進められていると伺っています。
 4.本市としては、こうした原爆・平和展を通して、東京に集まる多くの人々、特に若い世代の人々に、今まで触れたことのない被爆の実相と平和の取組について深く理解していただき、被爆者から次代を担う若い世代に平和のバトンを渡していくことができるよう、取り組んでまいりたいと考えています。

2. 被爆75周年記念事業と旧広島陸軍被服支廠について(3)

質問:

(3)次に、旧広島陸軍被服支廠について、お伺いします。
現在、市内最大級の被爆建物である旧陸軍被服支廠の保存・活用に関する議論が大きな話題となっています。
旧陸軍被服支廠は、大正2年に建設したものであり、現存する建物は、県が所有する3棟と中国財務局が所有する1棟の計4棟となっています。これらの4棟は、現存する最古級の鉄筋コンクリート造りの建築物であり、平成6年に広島市の被爆建物に登録されています。
この旧陸軍被服支廠は、築100年を超え、建物の老朽化が進んでおり、保存・活用対策や安全対策の観点からも、早急に具体的な対策を講じる必要があります。
私たち公明党は、安全対策の緊急性や、保存に多額の費用が必要である課題も承知していますが、やはり旧陸軍被服支廠は全棟を残してこそ、被爆の実相を後世に伝える訴求力があり、何としても保存すべきであると考えています。
1月23日、公明党の斉藤鉄夫幹事長は衆議院代表質問において、旧陸軍被服支廠を全棟保存する意義を国に主張し、保全に向けた支援策を講じるよう強く求めました。それに対し、安倍総理からは、「広島県の議論を踏まえて国としてもしっかり対応する」との答弁がありました。
私も、実際に旧陸軍被服支廠を訪れ、建物に触れながら、被爆当時、この場所で一体何があったのかに思いを巡らせてみました。そして、現物だからこその訴求力を実感したところです。
現在は世界遺産に登録されている原爆ドームでさえ、かつては存廃議論がありました。しかし、当時の市民の賢明な判断により保存され、核兵器廃絶と恒久平和を求める誓いのシンボルとして、被爆の実相と平和のメッセージを発信し続けています。
一度解体し失われてしまったものは二度と取り戻すことができません。被爆者の高齢化が進む中、被爆者と同様に原爆の惨禍を耐え抜き、被爆の実相を今に伝える“物言わぬ被爆者”である旧陸軍被服支廠の重要性を、所有者である国及び県、そして、関係する全ての人々が共有するとともに、英知を結集し、旧陸軍被服支廠を後世に伝えていくためのあらゆる手立てを講じることこそが、今を生きる私たちの成すべきことではないでしょうか。
そこで、お伺いします。
まず、本市は、被爆建物の保存・継承に向けて、これまでどのような考え方で、どのような取組をしてきたのか、お聞かせください。

答弁:

(市民局長)1.午前中の元田議員からの御質問にも答弁しましたとおり、被爆建物として登録されたものは、それらが被爆という歴史的な事実や原爆被害の凄惨さを今に伝える「もの言わぬ証人」であるとともに、失われてしまうと二度と取り戻せない貴重な財産であることから、その所有者に対し、できる限り保存・継承していただくよう要請するとともに、市としてもそのために必要な取組を行うこととしているところです。
 2.具体的には、原爆ドームや平和記念公園レストハウス等の本市が所有している被爆建物については、自ら保存工事等に取り組んでいるところです。また、民間の被爆建物所有者に対しては、保存工事等に関する補助制度を設け、費用の負担軽減を図っているところです。
 3.さらに、市民等を対象にした被爆建物めぐりの開催や、国内外の旅行者等を対象に被爆建物等を巡ってもらうピースツーリズムなど、被爆建物の存在や意義を多くの人々に知ってもらうための取組を行っているところです。

2. 被爆75周年記念事業と旧広島陸軍被服支廠について(4)

質問:

(4)また、被爆建物の保存に当たっての国の支援はどのようなものか、お聞かせください。

答弁:

(市民局長)1.本市では、民間の被爆建物所有者に対する補助制度を、被爆建物の登録制度を開始した平成5年度に創設し、当初は本市の財源のみで実施してきたところです。
 2.その後、国においては、原爆の惨禍を後代に確実に伝える取組に力を入れるため、国の原爆死没者慰霊等事業補助金について、平成28年度に、本市の民間所有者への補助制度に要する経費とともに、県や市の被爆建物の保存工事に要する経費をその補助の対象とするよう、制度を拡充されました。その補助上限額については、当初2,000万円でしたが、平成31年度には2,400万円に引き上げられたところです。

2. 被爆75周年記念事業と旧広島陸軍被服支廠について(5)

質問:

(5)そして今後、旧陸軍被服支廠の保存・活用を進めるに当たり、国に支援を求めるべきだと思いますが、本市の御見解をお聞かせください。

答弁:

(市民局長)1.本市には、旧広島陸軍被服支廠の他にも、原爆ドームや広島大学旧理学部1号館など、大型の被爆建物が複数ありますが、これらを保存・継承していくための保存工事については、現行の国の原爆死没者慰霊等事業補助金制度ではその対象に制約があるほか、補助上限額も低く、必ずしも十分とは言えない状況にあると考えています。
 2.このため、今後、これらの被爆建物の保存・継承に係る工事の検討状況を踏まえながら、国に更なる支援の充実を働き掛けていきたいと考えています。

3. SDGsの普及・啓発について(企画総務局長へ)

質問:

 SDGsの普及・啓発についてお伺いします。
 SDGsの普及・啓発について欠かせないのが、若い世代による発信です。民間企業等においても、SDGsへの取組が発信される時代となってきましたが、行政側として発信だけでなく、若い世代の高校生たちが行うSDGsに関する取組を支援することで、若者が若者を触発しながら、社会にもメッセージを送るという、相乗効果を生むことが期待できると思います。
 昨年12月27日に、徳島県で、高校生によるエシカル消費における課題解決発表「エシカル甲子園2019 ~私たちが創る持続可能な社会~」が、初めて開催され、全国から68校がエントリーし、各ブロック代表13校が出場しました。
 エシカル甲子園とは、「エシカル消費」のキーワードに、SDGsの課題の取組みを発表。高校生たちからの提案は、新しい発想とポジティブなアイデア、そして爽やかでエネルギーにあふれていました。
 そこでお伺いします。
 広島市においても、SDGSの取組を推進する若者を育むために、若者への啓発に取組べきと思いますが、本市のご見解をお聞かせください。

答弁:

(企画総務局長)1. SDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会の実現に向けては、国をはじめ、自治体、企業、市民といった全ての関係者(ステークホルダー)による連携した取組が必要です。
 2.そのためには、市民や企業がSDGsの意義を理解し、それぞれが実践していくことが重要となることから、出前講座の実施や包括連携協定を締結している企業が開催するSDGsの啓発セミナーの活用など、様々な機会を捉えて、SDGsの啓発を強力に推進してまいります。
 3.その際、とりわけ、重要となるのは次代を担う若者であり、若者には、自分たちが主役となる将来の社会をどのように変えていくのかを考え、持続可能な社会の担い手として、SDGsを推進していく役割が期待されていることを知ってもらう必要があります。
 4.このため、本市としては、例えば、マイボトルを持参しプラスチックゴミを出さない、食べ残しをなくし食品ロスを減らす、リサイクル商品を選ぶ、障害者施設で作られた商品を購入する、性別で男女の役割を固定する考え方を持たない、被爆の実相を学び、伝える活動をするなどの具体的な取組の周知を図るなど、若者が、SDGsを意識し、自らの行動を変えていけるよう、広報紙のほかホームページやSNSなども活用し、SDGsの啓発にしっかり取り組んでいきたいと考えています。

3. SDGsの普及・啓発について(市民局長へ)

質問:

 未来への責任として持続可能な世界を残すため、国連が作り上げた「持続可能な開発目標」、いわゆるSDGsは、私たち人類社会が抱える課題を包含した重要な取り組みであります。
 広島市におきましても、このたびの広島市基本構想及び基本計画の改定作業にあたり、広島市の都市像である「国際平和文化都市」の具現化に向けて、基本計画に掲げる施策をSDGsの目標として位置付け、その着実な達成を目指すものとされております。
 SDGsにおける課題は、世界的な課題でもありますが、それらが私たちの暮らしの中で一つ一つが関係し、決して他人事ではなく、自分たちのゴールとして考えていくことが、課題解決への道と繋がっていきます。
 それらの意味において、私たちの暮らしと、どのように関係し、また、一人一人の市民が、この地球のために何ができるのかを知るために、市民の皆さまにSDGs自体の普及・啓発が重要であると考えます。
 例えば、神奈川県の大和市では、市立図書館でSDGsを特集した書架を設けて企画展示を展開。この書架では、SDGsが示す世界で取組むべき17の目標に関連した書籍を並べ、本の背表紙には、その内容に沿うSDGsのロゴマークを張り、手に取った時に、どの分野について書かれているか分かりやすく工夫するなど、SDGsの 認知度向上に向けた取組を推進しています。
 そこで、お伺いいたします。
 本市も、SDGsについて、広く市民に広報し、普及・啓発を展開するために、公立図書館や公民館で、それぞれの工夫したSDGsの17の目標に関するコーナーを設置するなど、 展開してはどうでしょうか。御見解をお聞かせください。

答弁:

(市民局長) SDGsを普及・啓発する取組として、中央図書館では、本年1月10日から3月29日の期間で、SDGsに関する展示コーナー「知ってる?SDGs(持続可能な開発目標)」を企画し、関連図書の展示や展示図書リストの配布等を行っています。
 また、公民館でも、例えば古田公民館では、SDGsの目標である「住み続けられるまちづくりを」について地域住民とともに考える取組を、吉島公民館では、市民団体と共催して環境問題に関するイベントを開催するなど、SDGsに関連した事業に取り組んでいます。
 今後、こうした取組内容や実施施設をさらに拡充し、広く市民への普及・啓発に努めてまいりたいと考えています。

4. オリンピックを契機としたスポーツ振興について(1)

質問:

(1)次に、オリンピックを契機としたスポーツ振興についてお伺いします。
 今年は、オリンピック・パラリンピックが56年ぶりに東京で開催されます。言うまでもなく、オリンピック・パラリンピックは、世界中が注目するスポーツと平和の祭典です。
 昨年開催されたラグビーワールドカップも大盛況で終わり、引き続き東京で開催されるオリンピック、パラリンピックで、日本中がさらに盛り上がることと思います。
 そうしたことから、市民の皆さまのスポーツに対しての関心や意識が高まり、スポーツ人口を増やす絶好の機会と考えます。 そこでお伺いします。
 オリンピックを一層盛り上げるような機運の醸成とともに、本市のスポーツ振興につながるような取り組みを、是非行うべきだと思いますが、本市のご見解をお聞かせください。

答弁:

(市長) 川本議員からの御質問にお答えします。「オリンピックを契機としたスポーツ振興」のうち、「本市のスポーツ振興につながる取組」についての御質問がございました。
 1.スポーツを振興することは、市民一人一人が日々の暮らしに潤いと豊かさを実感し、自分たちの住むまちへの愛着を高め、また、まちの魅力の更なる向上に寄与するものであり、少子高齢化など社会環境が変化する中、今後さらに取組を強化する必要があります。
 2.議員ご指摘のとおりスポーツへの関心が高まる東京オリンピックは、本市のスポーツ振興を図る上で絶好の機会であり、この機をとらえて様々な取組を進めることが重要であると考えています。
 3.このため、今年度はメキシコの体操及びテニス選手団の事前合宿やバレーボール女子日本代表の強化合宿を受け入れるとともに、代表選手の学校訪問や交流イベントも行っています。また、今回からオリンピックの正式種目となるBMX等アーバンスポーツの祭典である FISEやオリンピック予選を兼ねた女子ホッケー8か国国際大会、男子バレーボールのワールドカップ、男子サッカーU22日本代表キリンチャレンジカップといった国際大会も開催しました。
 4.こうした取組の結果、トップレベルのパフォーマンスや迫力あるプレーを間近に見ることで、市民のスポーツへの関心を高めただけでなく、多くの子どもたちや市民が選手と触れ合うことで、オリンピックやスポーツを身近に感じ、親しみを持つきっかけにもなったと考えています。
 5.オリンピック本番に向けた今後の取組としては、メキシコ合衆国やキューバの直前合宿を受け入れるほか、昨年に続いてFISEを4月に開催する予定です。また、5月には聖火リレーが多くの市民の協力の下で行われ、それに合わせて本市を訪問されるトーマス・バッハ国際オリンピック委員会会長の出席を得て開催される記念セレモニーや、本市が主催する「平和とスポーツのシンポジウム」も同日に行う予定です。
 6.こうしたオリンピックに関連付けた様々な取組により、オリンピック機運を盛り上げると同時に、市民自らがスポーツをする動機付けや競技力向上への意識を高め、年齢や障害の有無に関わらず、より多くの市民が、例えば区民スポーツ大会やスポーツレクレーションフェスティバルなどの様々な大会に参加するなど、本市におけるスポーツの一層の振興に努めてまいります。その他の御質問については、関係局長から答弁いたします。

4. オリンピックを契機としたスポーツ振興について(2)

質問:

(2)また、オリンピックに続けて開催される、パラリンピックも盛り上げることにより、障害を持つ方だけでなく、あらゆる人を対象としてスポーツに関わってもらうことができるような取組を進めてはどうでしょうか。本市のご見解をお聞かせください。

答弁:

(市民局長) 1.パラリンピックについては、今年1月にメキシコ合衆国と協定を締結し、陸上と水泳の2競技の直前合宿を本市で受け入れることとしています。
 2.合宿期間中は、メキシコの選手と市内の障害者スポーツ選手をはじめとする市民との交流イベント等を開催することとしており、こうした取組を通して障害者スポーツの普及を促すとともに、市民の障害者スポーツへの理解を深め、多様性の重要さを改めて確認することで活力ある共生社会の実現に向けた取組の足掛かりにしたいと考えています。

5. 成年後見制度の利用促進について

質問:

 成年後見制度の利用促進についてお伺いいたします。
 成年後見制度は、知的障害、精神障害、認知症などにより、法的な判断能力を十分に発揮できない方が、そのことによって不利益を被らないように、家庭裁判所に申立てをして、本人を援助する方を付ける制度です。
 たとえば、一人暮らしのご老人が、認知症により家賃などの支払いを忘れ退去を迫られるといったことも、成年後見制度を上手に利用することで、予防や解消ができます。
 さて、成年後見制度が開始されると、後見人は数多くの手続きを最初に行います。例えば銀行で、口座名義に成年後見人の肩書を付けたり、大切な書類が、本人のところに送付されて紛失することを防ぐために、郵便局で後見人あてに転送届を提出など、数多くあります。その中には、本市で行う手続きもあります。たとえば、
 国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険 などの各種保険
 市県民税・固定資産税・軽自動車税 などの市税に関すること
 原爆被爆者援護制度 生活保護 などの各種支援に関すること について、送付先を後見人の住所に変更や、登録された銀行口座の名義変更をしたりすることなどです。
 この手続きは、内容的には同じようなものが多いにもかかわらず、現在は、様々な窓口に行かなくてはなりません。
 後見人の業務は、後見開始直後から、本人の財産の調査を行い、収支見込みを作成して裁判所に提出するなど、手続きで色々なところに行き、大変です。
 このような手続きに慣れている専門家でも大変なのですが、親族後見人や市民後見人などの一般の方にとっては、さらに大変な労力を必要とされます。
 現在、成年後見人には、司法書士などの専門職が6割、親族などが3割程度の割合で就任しておりますが、昨年、最高裁判所は、後見人等には、原則、親族か市民後見人から選任することを発表し、今後、本市でも多くの市民後見人、親族後見人が誕生するものと見込まれ、その方々への支援が急務とされます。
 成年後見制度の利用の促進には、昨年の9月議会で公明党の並川議員が質問した中核機関などの設置も必要とされていますが、後見人などの事務を合理的に軽減することも併せて求められています。
 そこで、本市においても、後見制度を利用する旨の届け出を一括して行うことができる窓口(いわゆるワンストップサービス窓口)を設けることが成年後見制度の利用促進を進める中で、必要ではないかと考えています。
 すでに、死亡に伴う手続き(いわゆる相続の手続き)についてのワンストップサービスが、令和2年度より本市において開始の検討がされています。相続と担当する部署が重複する後見制度においても、ワンストップサービスは可能ではないかと思います。
 そこで質問です、本市においても、相続と同じように後見制度の届け出についてワンストップサービスを開始すべきであると考えますが、本市のご見解をお聞かせください。

答弁:

(健康福祉局長) 1.本市では、本年2月に策定した広島市行政経営改革推進プランに掲げる取組として、「区役所窓口における市民サービスの向上と業務の効率化」に取り組むこととしており、その中で、「ワンストップサービスの導入」について、まずは、令和2年度中を目途に、死亡時の手続のワンストップサービスを導入する予定です。
 2.議員御指摘のとおり、成年後見等開始後には、被後見人等への市税の納税通知書等を後見人等に送付してもらうための住所変更手続や高額療養費等の振込先口座名義の変更など様々な手続が必要となり、現在はそれぞれの担当課で受付を行っています。
 3.これらの手続にワンストップサービスを導入することで、成年後見制度の利用促進につながることも考えられるため、死亡時の手続のワンストップサービスの取組も参考にしつつ、どのような対応が可能か検討していきたいと考えています。

6. 食品ロス削減について

質問:

 食品ロスの削減について、お伺いします。
 2016年度日本国内での食品ロスは、年間約643万トンと試算されており、この量は、国連の世界食糧計画(WFP)が発展途上国に食糧を援助する量の約2倍に当たります。また、日本人一人当たりに換算すると、毎日、茶碗一杯分のごはんを捨てていることに相当します。日本政府は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に沿って、食品ロスの量を2030年度までに、半減させることを目指しています。本市においても、事業者を含め市民の食品ロスに対する取り組みや意識啓発は、いまや必要不可欠であります。私が幼少のころ、ご飯粒1粒でも食べ残しがあれば、両親、祖母から注意を受けたことを思い出します。そこで、今こそ、私たちに大切なものは、「もったいない」との心を持ち、一人一人が意識して行動することだと考えます。
 現在、本市では「ゼロエミッションシティ広島の実現」を基本理念に、市民、事業者、行政が一体となって、ごみ減量や資源化に取り組んでいます。
 さて、国においては、昨年10月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」(略称 食品ロス削減推進法)が施行され、国全体で食品ロスの削減を総合的に推進することになりました。本市では、これまで、広島市環境局がリードし、市民、事業者、行政が一体となって、広島市ごみ減量・リサイクル実行委員会を立ち上げ、平成29年2月から、食品ロス削減キャンペーン「スマイル!ひろしま」に取組んでいます。
 そこで、食品ロス削減の県民認知度を高めた事例の一つに、福井県では、2006年度から「おいしいふくい食べきり運動」事業をスタート。県内の外食店に呼び掛け、「食べきり協力店」の登録制度を進め、1092店舗まで増えています。また、おいしいふくい食べきり運動のホームページでは、わかりやすい映像を使い、親子でも楽しめる内容になっています。そうした地道な啓発活動は、ある地域イベントで行ったアンケートによると、約8割の県民が「食べきり運動を知っている」との回答があり、福井県民への認知度を高めた成功事例と考えます。本市においても、是非参考にして頂ければと思います。
 そこでお伺いします。本市の食品ロス削減について、これまでの具体的な取組と課題、そして、今後、どのように取組まれるのか、お聞かせください。

答弁:

(環境局長) 1.本市では、食品ロス削減の取組を進めるため、市民・事業者・行政の三者協働による実行委員会を組織し、食品ロス削減キャンペーン「スマイル!ひろしま」を実施しています。
 具体的には、スーパーマーケットの店頭で買物客に食品ロスの削減を呼びかける「ごみ減らそうデー」の実施や、飲食店・ホテルを対象とした「食べ残しゼロ推進協力店」と、食品小売店を対象とした「食品ロス削減協力店」の登録を行い、市民にPRを行っています。また、昨年、国が10月30日を「食品ロス削減の日」と定めたことから、同日に食品ロス削減市民啓発イベントを新たに開催するなどして、食品ロス削減の取組の促進に努めています。
 2.また、事業所での食品ロス対策としては、多量に食品廃棄物を排出する大規模事業所への訪問指導等を実施しており、今年度は、ホテルを対象に食品廃棄物の削減やリサイクルの取組を要請し、積極的に取組を進めているホテルを「ごみ減量優良事業者」として表彰したところです。
 3.これまで本市では、食品ロス削減のための様々な取組を行ってきていますが、市民及び事業者における食品ロス削減の意識を更に浸透させることが課題として挙げられます。
 4.こうしたことから、例えば、市民及び事業者の「もったいない」という意識を具現化するための新たな取組として、飲食店等での食べ残しの持ち帰りを容易にするための容器、いわゆる「ドギーバッグ」を「食べ残しゼロ推進協力店」に配付するとともに、今後、国が新たに策定する「食品ロス削減の推進に関する基本方針」を踏まえ、長期的、総合的な対応を検討し、更なる食品ロスの削減を図っていきたいと考えています。

7. 保育環境の充実と多文化共生について(1)(2)

質問:

(1)保育環境の充実と多文化共生についてお伺いします。
 昨年の12月24日厚生労働省が発表した人口動態統計の年間推計によると、2019年日本人の国内出生数は、86万4千人となり、1899年の統計開始以来、初めて90万人を下回りました。     
 少子高齢化と人口減少が同時に進む中、子育て世代への支援は最優先の課題であります。
 この少子化の問題は、教育費などの経済的な負担や、仕事と子育ての両立の難しさ、子育ての中の孤立感や負担感、出会いの機会の減少、年齢や健康上の理由など、様々な要因が挙げられます。こうした要因を着実に解決して、希望する女性や若い世代が安心して子どもを産み育てられる社会環境を作ることが求められています。
 本市においても、産休・育休期間を終えて母親が社会復帰するためには、その家族や両親などの親族に預けるか、保育園や認定こども園などに預けることをしなければ、母親の職場復帰は、非常に困難な状況になります。
 本市においても引き続き、保育園などの受け皿づくりと保育の 質向上による、安全、安心の保育環境への取組をお願い致します。
 さて、内閣府の調査によると、保育園、幼稚園、認定こども園等での重大事故は、2015年の399件から2018年の1221件へと年々増加しています。この間に合計44件の死亡事故があり、このうち33件が睡眠中に起きていました。さらに、乳幼児突然死症候群(SIDS)については、厚生労働省によると、2018年のSIDS死亡者数は概数で60人と公表しています。
 乳幼児突然死症候群SIDSとは、睡眠中の赤ちゃんの突然死であることから、寝かしている間も定期的に保育士が、確認することが求められています。そこで、保育士の負担を軽減するために、睡眠中の赤ちゃんを見守る「ベビーセンサーやセンサー付きマット」などの導入が、全国の保育施設に広まっています。本市においても、保育園、認定こども園の安全対策の補助器具として活用されていると伺いました。乳幼児の命を守るため、そして保育士の負担軽減にも役立つ器具などを活用しながら、保育環境の充実に最善を尽くして頂ければと考えます。
 さて、本市に居住する外国人も増加傾向にある中で、他国にルーツを持つ子どもたちも生まれ育っています。本市のホームページは、6か国語に対応していますが、言葉だけでなく、文化の違いなどから、様々な問題が起こっています。そうした中、他国にルーツを持つ子ども達は、本市保育園などで日本語や日本文化を学んだことを、親に伝える非常に重要なパイプ役であります。本市においても、多文化を包摂する共生保育環境を進めなければならないと考えます。
 そこで、お伺いします。
 公立保育園、認定こども園において、外国人の子どもがいる園数は何園で、どれだけの人数が入園されているのでしょうか、また、園児全体に占める割合はどのくらいになるのでしょうか。お教えてください。
(2)そのうち、外国人の子どもが最も多い園は何処で、何人いるのかも教えてください。

答弁:

(こども未来局長) 1.本市の公立保育園及び認定こども園89園において、両親ともに外国人である園児が入園している園は、平成31年4月1日時点で41園あり、園児数は179人となっています。この人数は、公立園の園児全体の約1.7%に当たります。
 2.また、外国人を両親に持つ子どもが最も多い園は、基町保育園で、46人が入園しています。

7. 保育環境の充実と多文化共生について(3)

質問:

(3)最後に、外国人のこどもや保護者としっかりコミュニケーションを取り、日本での生活に馴染めるような支援を行っていく必要があると考えますが、本市のお考えをお聞かせください。

答弁:

(こども未来局長) 1.保育園や認定こども園に入園する外国人の子どもは増加傾向にあり、本市としても、こうした子どもと保護者への効果的な支援を充実させていく必要があると認識しています。
 2.このため、来年度からの試験的な取組として、公立保育園の中で外国人の子どもが最も多い基町保育園において、外国人の子どもの保育等を支援する職員を新たに配置し、生活に必要な言語力や日本人の子どもたちとのコミュニケーション力の向上を促すこととしています。
 また、保育士と保護者との意思疎通の円滑化を図るため、通訳機器の導入や配付物・掲示物の多言語化などを行うとともに、日本人と外国人の子どもや保護者が多様な文化に触れ合う機会を創出し、相互理解の促進にも取り組む予定としています。
 3.こうした取組により、外国人の子どもや保護者を効果的に支援していくノウハウの蓄積を進め、そこで得られた成果を広めていくことで、将来的には、どの園においても効果的な支援ができるようにしていきたいと考えています。

8. 小中一貫教育校への移行について(1)

質問:

(1)小中一貫教育校への移行について お伺いします
 今年1月21日に、文教委員会へ提出された資料によると、教育委員会は、令和2年度より、似島小中学校・戸山小中学校、阿戸小中学校を小中一貫教育校へ移行することに決定しました。
 戸山小中学校は、私が学んだ母校です。その母校が、本市初の小中一貫教育校となるということに大きな関心を寄せているところです。
 そこで、小中一貫教育校について、3点ほどお伺いします。 小中一貫教育校の趣旨の中に、「学校が地域活性化の拠点となるよう、地域による学校施設の多様な活用を促進する」とあります。確かに学校は、地域コミュニティーの核となる大事な施設です。具体的に、どのような「地域による学校施設の活用」を考えているのかお答えください。

答弁:

(教育長) 1.学校施設は、児童生徒を教育する場であるとともに、地域に開放することにより、地域における様々な活動の拠点として活用し得るものです。とりわけ中山間地・島しょ部においては、地域活性化を推進する上で、重要な存在であり、大きな役割を担うものと認識しています。
 2.こうした認識のもと、この度移行する小中一貫教育校においては、教育の場としての本来の機能や、安全面・防犯面に配慮しつつ、学校施設を地域活性化のための様々な活動の場として積極的に活用していきたいと考えています。
 3.現時点で想定できる活用例としては、「空き教室を地域のコミュニティールームとして活用する」、「家庭科室を子どもも参加できる調理教室として活用する」などが考えられますが、より幅広い活用を促したいと考えており、今後、その具体的な内容や運用のルールなどについて、学校や地域としっかり話し合いながら検討していきたいと考えています。

8. 小中一貫教育校への移行について(2)

質問:

(2)小中一貫教育校における教育活動の中に、「義務教育9年間を、前期4年・中期3年・後期2年と区分する」とあります。従来の6・3制ではなく、このような区分とするメリットは何でしょうか。また、区分の異なる他校から転出入する児童生徒に不都合は生じないのでしょうか。お答えください。

答弁:

(教育長) 1.この度移行する小中一貫教育校は、小学校に6年間、中学校に3年間、それぞれ在籍するという基本的な枠組みは残したままで、小学校5・6年生と中学校1年生の3年間を、小学校4年生までに身に付けた基礎的な学びを向上・発展させるための期間と位置付け、算数・数学、理科、英語などの教科について、小学校の教員と中学校の教員が共に授業を行えるようにしています。
 2.これにより、児童生徒にとっては、より専門的、より丁寧な指導を受けることができるとともに、小・中学校の教員にとっても、互いの指導方法や児童生徒への接し方を共有することができ、いわゆる「中1ギャップ」、これは学級担任制から教科担任制に変わることや、学習内容が難しくなることなどに伴う生徒の学校生活への不適応のことになりますが、その解消につながるものと考えており、こうしたことがメリットとして挙げられます。
 3.転出入児童生徒への不都合はないかとのお尋ねですが、小学校5年生から中学校1年生の間は、他の小・中学校とは違う取り扱いになりますが、この間、各学年で指導する内容は、学習指導要領に基づき、他の小・中学校と同様としつつ、その際の指導方法がより充実されたものであることから、支障が生じるものではないと考えています。

8. 小中一貫教育校への移行について(3)

質問:

(3)次年度から小中一貫教育校へ移行するのは、これらの6校ですが、今後、拡大していく予定はあるのでしょうか。今後の計画をお答えください。

答弁:

(教育長) 1.この度、導入する小中一貫教育校は、小中連携・接続をより強化するための有効な方策の一つと考えており、似島、戸山、阿戸と同様に、一小学校・一中学校の学区で校舎が隣接している場合などには、今回移行する学校の取組状況を踏まえつつ、各中学校区の地域の実情などを考慮しながら、その拡大について検討していきたいと考えています。

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