2020.12.10
12月10日、広島市議会 令和2年第8回定例会で、会派を代表して一般質問を行いました。
質問内容は、以下の6項目です。
1.東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせた平和推進の取組について
2.被爆二世の健康管理の冊子作成について
3.西風新都の都市づくりについて
4.脱炭素に向けての本市の取組について
5.小水力発電の導入について
6.市立学校への太陽光発電システム導入について
1. 東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせた平和推進の取組について
公明党の川本和弘です。会派を代表して一般質問をさせていただきます。しばらくの間,御清聴のほどよろしくお願いいたします。
まず初めに,東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせた平和推進の取組についてお尋ねします。
本年は,被爆から75年目という節目の年であり,平和の祭典である東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて,世界中の多くの方々に被爆の実相と被爆者の平和への思いに触れてもらうため,ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展を被爆75周年記念事業の一環として開催の予定でしたが,新型コロナウイルス感染の拡大により,延期を余儀なくされました。私は,本年2月議会の総括質問において,原爆・平和展に合わせた被爆ピアノの演奏会を開催してはどうかと提案し,本市は,被爆ピアノコンサートを原爆・平和展に合わせて開催するよう調整を進められている旨の答弁をいただきました。
先般,国際オリンピック委員会のバッハ会長が来日され,菅総理との会談において,観客が参加した形での東京オリンピック・パラリンピック開催の実現に向け,緊密に連携していくことで一致したと報道がありました。この機会をしっかりと捉え,世界中の方々に被爆の実相と平和への思いに触れていただきたいと強く願っております。
そこでお伺いします。
質問:
来年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて,延期となったヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展や被爆ピアノ演奏会などを開催してはどうかと考えます。また,その際,被爆ピアノ演奏会を世界中へ発信する媒体として,オンライン中継の取組も検討してはどうかと思いますが,本市のお考えをお聞かせください。
答弁:
東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせた平和推進の取組について,令和3年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて,ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展や被爆ピアノ演奏会などを企画してはどうか,また,被爆ピアノの演奏会のオンライン中継も検討してはどうかについてお答えいたします。
被爆75年という節目に開催される東京オリンピック・パラリンピックに合わせ,今年度,東京都内等で開催する予定としていたヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展については,この東京オリンピック・パラリンピック大会の1年延期に合わせて,来年度実施する方向で,開催都市である東京都文京区,千代田区,埼玉県飯能市と調整しています。
また,被爆ピアノコンサートについても,主催する千代田区において,引き続き,この原爆・平和展に合わせて実施する方向で調整を進めており,オンライン中継についても検討していると伺っております。
以上でございます。
2. 被爆二世の健康管理の冊子作成について
続きまして,被爆二世の健康管理の冊子作成についてお尋ねいたします。
広島市は,被爆二世に対しての健康診断を昭和48年度から単市事業として実施してきました。その後は,平成13年度から都道府県及び広島・長崎両市に委託先を変更し,現在実施されているところです。広島市原爆被害者の会,二世・三世部会では,被爆二世の健康を記録する小冊子の作成を,長年本市に要望してこられました。そして,本年8月6日,被爆者代表から要望を聞く会の中で,被爆二世の健康診断について,不安解消の一助として,自らの健康管理に役立てるために,健康管理票を発行してほしい旨の要望に対して,厚生労働大臣自ら,国としても,被爆二世の方々が,健診結果を自身の健康管理に効果的に活用していただくのは大変大事だと思っており,小冊子のひな形を自治体に示す中で,標準化の取組を検討したい旨の回答がありました。
そこで、お伺いします。
質問:
被爆二世の健康管理の冊子について,厚生労働省が提示するひな形がまとまり,提示された場合,市として作成してはどうかと考えますが,本市のお考えをお聞かせください。
答弁:
被爆二世の健康管理の冊子作成について,二点の御質問にお答えいたします。
初めに,被爆二世の健康管理の冊子について,厚生労働省のひな形がまとまり提示された場合,市として作成するかについてです。
現在,本市では,被爆二世の方の健康管理と健康不安の解消に資するため,国からの受託事業として被爆二世健康診断を実施しております。この事業に対しては,以前から被爆者団体や被爆二世団体から拡充の声が上がっており,本市におきましても,広島・長崎両県・市等による八者協議会を通じて国へ要望しているところです。
こうした中,先ほど議員から御紹介のあったとおり,本年8月の被爆者代表から要望を聞く会では,厚生労働大臣から,国としても健診結果を自身の健康管理に活用することは大変大事だと思っており,そのため,小冊子のひな形を自治体に示したい旨の発言があり,本年中にも,国からそのひな形が示されると聞いております。
本市としましても健診結果を記録する小冊子を発行することは,健診結果を自ら管理することにより自己の健康保持・増進の意識が向上し,被爆二世の健康不安の解消の一助となること,また,被爆者団体や被爆二世団体の以前からの御要望にもお応えすることができることから,国の意向を踏まえ,来年度に小冊子を作成する方向で検討を進めております。
質問:
また,被爆二世健康診断は,被爆二世の健康管理を行う上でも重要な取組であり,被爆地である本市において,より一層の周知に努めていただきたいと考えますが,本市の取組状況とお考えをお聞かせください。
答弁:
被爆二世健康診断は,被爆二世の健康管理のために重要な取組であり,より一層の周知に努めていただきたいが,市の取組状況と考えはどうかについてです。
被爆二世健康診断は,被爆二世の健康管理を行う上で,大変重要であるというふうに認識しております。これまでも,市の広報紙やホームページ等を通じた広報のほか,前年度に二世健診を受診した方のうち希望者へ受診申込書を送付するとともに,被爆者に送付する定期健康診断通知書へ二世健診実施の案内を掲載するなど,広く周知を図ってまいりました。
さらに,新たな取組として,今月からは本市が官民協働による市民サービスの向上等を目的として,包括連携協定を締結している福屋百貨店の店頭に,二世健診の知らせを設置していただいております。現在,同様に協定を締結している郵便局やコンビニエンスストア等へもお知らせを設置していただけるように協議を進めているところです。引き続き,被爆二世の健康管理に資するため,被爆二世健康診断の一層の周知に努めてまいります。
以上でございます。
3. 西風新都の都市づくりについて
次に,西風新都の都市づくりについてお尋ねいたします。
西風新都の都市づくりについては,昨年の12月議会で谷口議員の質問への答弁において,都市づくりに対する市長の意気込みや思いを聞かせていただきました。そこでは,地元住民との約束を守るという決意の下,市長就任1期目から,アストラムラインの延伸や環状線の整備などに取り組み,西風新都の都市づくりへの思いは,市長に就任した以降,今も変わりはありませんとの答弁は,今も私の心に残っております。また,地元住民の一人として,大変ありがたくお聞きいたしました。これからもその意気込みと思いが持続され,広島市のトップとして,さらに,リーダーシップを発揮していただきたいと願っております。
そこで,大塚地区のまちづくりについてお伺いします。私の生まれ育った安佐南区沼田町は,1994年10月に開催された第12回アジア大会のメイン会場となったことから,アストラムラインや4車線道路の交通網整備は目をみはるものがありました。さらに,2001年7月に西風新都インターチェンジの開通や,同年の10月には沼田-中広間をトンネルで抜ける広島高速4号線も開通し,沼田から広島市内への直線的な移動が可能となるなど,交通の利便性が格段に向上した地域であります。特に西風新都の中心部付近に位置する大塚地区は,東西を結ぶ山陽道五日市インターチェンジや,北には中国道へ接続する西風新都インターチェンジ,南に広島高速4号線,そして,アストラムラインもあり,交通アクセスのポテンシャルが高く,西風新都の玄関口としてふさわしいまちづくりが期待される地区であります。
一方,その大塚地区では,住民が主体となって進めているまちづくりについて,長年検討されてきましたが,今現在,発展している周辺地域と比べ,残念ながら取り残されている感は否めません。昨年の12月議会で谷口議員が,大塚地区での住民主体のまちづくりをどのように進めるつもりかとの御質問があり,当局は,このまちづくりを支援するため,これまでに地区計画制度に関する勉強会の開催やコンサルタント派遣などを行っているが,今後も大塚地区にふさわしい計画的で魅力的なまちづくりが進展するよう,必要な支援を行ってまいりますと答弁されました。その支援の下,大塚地区では,地域住民のまちづくりプラン案として,物流施設を誘致したまちづくりを進めようとされています。
そこで,このようなまちづくりを進めるためには,西風新都の都市づくり基本方針として,平成元年度に策定した広島西部丘陵都市建設実施計画やその都市づくりの理念を踏襲している,活力創造都市“ひろしま西風新都”推進計画2013に沿う必要があります。その推進計画2013の中では,物流施設を平地部に立地する土地利用の方針が示されておらず,その理由として,平地部では既に居住されている方々の居住環境を悪化させるおそれがあり,しかも,この推進計画2013策定当時には,物流施設などの立地を想定していなかったと当局からお聞きいたしました。確かにその御見解を否定するつもりはありません。しかし,近年の物流施設における開発は,居住環境への配慮や地域住民の利便性を向上する施設へと変化しています。
例えば,物流設備の環境面では,トラックで排出される温室効果ガスの削減や騒音について,事業者は排出ガス規制や騒音規制の基準をクリアした低公害車両の導入に取り組むとともに太陽光発電を設置するなど,脱炭素社会への取組もされています。また,搬出搬入時の路上駐車を防ぐため,荷下ろし,荷積みの効率的な作業を行えるよう,ICTの活用や敷地内に大規模駐車スペースも確保しています。景観面においては,施設側面の壁にデザインを施し,壁面や屋上を緑化するなど環境面にも配慮しています。施設内は,従業員の福利厚生としてコンビニ,食堂,休憩室・会議室,フィットネス,託児所も設置することで,周辺地域の住民の皆様にも利用できるように工夫がなされています。
また,災害時には,大規模駐車スペースを避難所やヘリポートとして使用され,さらに,非常用電源の取付けや倉庫の一部を備蓄庫とすることも取り組まれています。つまり,物流施設は環境にも配慮され,地域住民の利便性や防災性も向上させるものとして,地域との共存を図る地域共存型施設となり得る可能性を秘めています。実際にこのような取組は,千葉県船橋市など他都市でも進めているようであり,近頃の物流施設は私が思っていた以上に進歩していました。
いかがでしょうか。このような物流施設をてこにした大塚地区のまちづくりプラン案は,すばらしい発想だと私は考えます。本市の都市づくりというものは,長期的な視点に立って行われるもので,その基本方針である西風新都推進計画2013をころころと場当たり的に変更することはあってはならないというのも理解できますが,このような物流施設なら,本市の都市づくり理念や基本方針の趣旨に十分沿っていると言えるのではないでしょうか。
そこでお伺いします。
質問:
物流系施設の立地ができるように,西風新都推進計画2013の一部を見直すなど,柔軟に対応する必要があると思いますが,御見解をお聞かせください。
市長答弁:
西風新都の都市づくりについてのうち,活力創造都市“ひろしま西風新都”推進計画2013についての御質問がございました。
推進計画2013は,私が市長就任1期目の2013年に,当時の経済情勢に鑑み,西風新都内の循環,西風新都-デルタ間の循環を着実に形成していくためには,民間開発の先行,行政の追従という,これまでの整備方針を改めるとともに,地元住民との約束を守り,交通基盤や公共公益施設の整備など,スケジュールも含めて明確に示す必要があると考え策定したものであり,これまでこれを基に計画的な都市づくりに努めてきているところであります。
ところで,議員御指摘の物流施設については,近年,国において,全国的な需要の高まりに応じ,流通業務の総合化及び効率化を促進することとし,そのために高速道路インターチェンジ周辺への立地誘導を推進しているところであります。また,昨今,立地誘導された物流施設は低公害車の導入,ICTの活用による搬出・搬入の効率化に加えて,施設そのもののデザイン化や壁面・屋上の緑化など,周辺環境に配慮するものになっているほか,例えば,コンビニ,食堂,託児所などの従業員の福利厚生施設が地域住民に開放され,さらに,災害時に避難場所として活用できるようにするなど,地域住民の利便性や防災性を向上させ,地域との共存が図られるものまでも見られるようになっております。
地域の方が,このような状況変化を的確に捉え,大塚地区のまちづくりのために高速道路インターチェンジ周辺など,交通利便性の高い地区に物流施設の立地誘導を望まれるのであれば,その要望を踏まえた推進計画2013の見直しは,当然に行うべきものであると考えているところです。
その他の御質問については,関係局長から答弁いたします。
次に,善當寺地区の開発についてお伺いします。
この件についても,昨年12月議会において谷口議員が地域住民の声をこのように代弁されました。善當寺地区の南側にある伴小学校,伴中学校は,避難場所に指定されながら,土砂災害特別警戒区域内に位置しています。この善當寺地区の開発が進めば,中学校に接する急峻なのり面が除去され,あるいはのり面整備が実施され,安全度が向上することや土砂災害特別警戒区域の指定が解除されるという効果もあり,この開発に期待しているとの内容でした。当局は,善當寺地区については,開発を着実に進展させるためには,民間事業者の開発意欲を喚起することが重要であり,現在整備中の道路をできるだけ早く,目に見える形で具体化することが必要と考えている。このため,その進捗状況を民間事業者も含め,広く周知するなど,開発促進に向けた取組を進める旨を答弁されています。
そこでお伺いします。
質問:
この答弁から1年が経過しましたが,その後,善當寺地区の開発はどのようになっているのか,お聞かせください。
答弁:
西風新都の都市づくりについて,善當寺地区の開発はどのようになっているのかとのお尋ねにお答えを申し上げます。
善當寺地区については,西風新都内の交通渋滞の解消を図るため,令和12年の完成を目指し,幹線道路整備に取り組むとともに,民間事業者の開発意欲を喚起するため,当該地区の立地特性や道路整備の進捗状況などを広く周知してきたところ,複数の事業者から開発に関する問合せや検討の申出がございました。
当該地区の開発は,議員御懸念の土砂災害に対する安全性を向上させるほか,周辺地区のまちづくりを誘発することも期待できるため,この開発が実現できるよう,これらの事業者に必要となる情報を提供し,検討の進捗状況を把握しながら事業者へ助言を行うなど,しっかりと対応していきたいと考えております。
以上でございます。
要望:
私は,児童生徒が通う学校施設に隣接するのり面に対しては,命を守る防災上の観点から,この善當寺地区の開発と同時に,伴小学校,伴中学校ののり面対策を講じていただきたく要望いたします。
4. 脱炭素に向けての本市の取組について
続いて,脱炭素に向けての本市の取組についてお尋ねします。
近年,温暖化が引き金と見られる豪雨災害や大型台風,そして,熱波や干ばつなどの異常気象は,世界各地で甚大な災害を起こし,多くの人命が奪われています。この広島においても,激甚災害に見舞われた平成26年8月豪雨や平成30年7月豪雨など,自然災害の恐怖は今も忘れることはできません。今後も防災・減災のハード,ソフト対策と併せて地球環境を守るためには,地球温暖化の根本原因である脱炭素社会の実現に向けて,行政,事業者,そして私たち市民が一体となって取り組まなければならないと考えます。
さて,昨年のCOP25において,グテレス国連事務総長は,危険な地球温暖化を抑えられるか,今がまさに節目だと強調されました。地球温暖化の防止を目指す国際的な枠組み,パリ協定の下,ヨーロッパを中心に脱炭素の流れが加速する中,日本のエネルギー電源構成比は,資源エネルギー庁が公表しているデータによると,2018年度の速報値では,化石燃料による火力発電が76.9%,そして,再生可能エネルギー発電は2010年と比較すると7.4ポイント上昇の16.9%とありました。我が国の主力電源としては,化石燃料による火力発電が現状であります。
そこで,我が国では,2018年に閣議決定した第5次エネルギー基本計画において,再生可能エネルギーの主力電源化を目指していくとして,2030年度の電源構成比について,火力を56%程度に下げ,再生可能エネルギーを22%から24%までに引き上げることを目標とし,再生可能エネルギーの最大限の導入を図っていくこととしています。つまり,化石燃料の活用を減らすことで温室効果ガスの原因であるCO2排出を削減し,再生可能エネルギーへの強力な転換を目指しています。
さらに,第99代菅総理大臣の所信表明演説において,2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル,脱炭素社会の実現を目指すことを表明されました。それを受け,11月19日の衆議院,11月20日の参議院における気候非常事態宣言の決議の採択は,まさに国を挙げて地球温暖化対策に取り組む決意表明でもありました。既に2050年までにCO2排出実質ゼロに向けて取組を表明しているゼロカーボンシティ宣言をした自治体は,令和2年12月3日現在で181の自治体,人口で約8319万人にも上っています。このような自治体の行動が,日本全体のCO2実質ゼロに向けた大きな力となることは間違いありません。
そして,本市では,一昨日の議会において市長が,2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指すこととし,広島市環境基本計画に掲げる環境像である将来にわたって豊かな水と緑に恵まれ,かつ,快適な都市生活を享受することができるまちを実現できるよう,市民,事業者と一体となって,脱炭素社会の構築に向けて取り組んでいきたいとの主旨は,本市のゼロカーボンシティ表明であり,環境の党,公明党としても力強く思っております。脱炭素社会の構築に向けてのキーワードは,行政,事業者,市民と一体となってと,市長答弁が物語るように,全市民挙げての努力で地球環境を守ることにあります。
そこでお尋ねいたします。
質問:
温暖化対策は,行政,事業者,市民が一体となって取り組むことが重要であると思いますが,本市としてどのように取り組んでいくつもりなのか,お聞かせください。
答弁:
脱炭素に向けての本市の取組についての御質問にお答えします。
地球温暖化対策の推進に当たっては,市民,事業者,行政等の各主体が,それぞれの立場で行うべき責務を果たし,互いに連携協力しながら,日常生活や社会経済活動のあらゆる場面で取組を進めていくことが重要です。
こうした認識の下,本市では,市民,環境団体,商店街連合会等で構成するひろしま低炭素まちづくり市民会議を平成29年度に設置し,この市民会議が中心となって,市民向けの環境イベントの開催や事業者向けの啓発冊子の作成など,地球温暖化対策について広く市民や事業者への啓発活動を実施しています。
また,市民や事業者の自主的な取組を促していくためには,本市が率先して地球温暖化対策に取り組むことが重要であることから,本市が所有する施設のエネルギー効率のよい照明・空調等設備の導入推進や省エネルギー設備への改修経費を光熱費の削減分で賄う,いわゆるESCO事業による道路照明灯のLED化などに取り組んでいます。
今後もこうした取組を実施することにより,市民,事業者と一体となって,脱炭素社会の構築に向けて,着実に地球温暖化対策を進めていきたいと考えています。
以上でございます。
5. 小水力発電の導入について
さて,本市の再生可能エネルギーの活用を具体化した成功事例として,下水道局の西部水資源再生センターで行っている消化ガス発電事業があります。そこは,西部水資源再生センターに流入する広島市内の約70%の下水汚泥を活用し,バイオガス燃料となる消化ガスを発生させます。その消化ガスを本市は発電事業者に売却し,発電事業者はその消化ガスを燃料として発電した電気を電力会社に売電します。その発電事業は,事業者が発電機を設備するため,本市は敷地を貸すのみで民設民営で運用しています。その発電量は,一般家庭約1,900世帯分に匹敵しています。そして,消化ガス発電事業では,下水汚泥を活用した消化ガスの売却で1年当たり約1億6000万円の収益を上げられております。さらに,西部水資源再生センターでは,下水汚泥を原料とした炭化燃料,いわゆるバイオマス燃料として火力発電所で利用する事業も行われています。これらの事業は,本市及び社会全体における温室効果ガスの削減による地球温暖化防止に貢献しています。
そこで,小水力発電の導入についてお尋ねします。小水力発電とは,大規模ダムの貯水池式や中規模ダムの調整池式のように,河川の水をためることなく,一般河川,農業用水,砂防ダム,上水道,下水道など,流れる水のエネルギーを利用し,モーターを回すことで発電する方法です。そうした未利用の水力エネルギーを使い,二酸化炭素を排出しないクリーンな発電エネルギーであることは従前から注目されています。その小水力発電のメリットは,太陽光発電や風力発電と比べて天候の影響を受けにくいということや大型の水力発電のように自然破壊につながらないことであります。
早速,私は,会派のメンバーとともに,本年の8月に民設民営の小水力発電を導入した,山口県柳井地域広域水道企業団の柳井第一配水池の視察をしてきました。そこは,上水道の管をバイパスする形で,非常にコンパクトな発電設備であり,年間の発電量は一般家庭56世帯分とお聞きしました。それに加え,三つのメリットがありました。まず一つ目は,場所貸しスキームの活用をし,民間企業が設備負担することで自治体の費用負担がないこと,二つ目は,上水道の未利用エネルギーを小水力発電に活用することで,年間99トンのCO2削減に貢献していること,そして三つ目は,売電収益の一部を自治体にも分配されるなどのメリットがありました。
さて,本市の水道事業における小水力発電については,平成24年度の一般質問において,我が会派の西田議員がその導入について検討するべき旨の質問をしましたが,当局は,小水力発電の設置に適した施設を抽出し,費用対効果の試算を行って,具体的に検討するという主旨の答弁でした。その後,平成26年度の消防上下水道委員会において,高陽配水池と牛田配水池を結ぶ送水管に小水力発電設備を設置検討した報告の中で,小水力発電設備を設置する送水管の途中で給水に支障となる水圧変動が生じることが明らかになりました。その水圧変動を抑制できるところまで水量を減少させた場合は,発電可能量が減少し,費用対効果が得られなくなるため,導入を見送ったとのことでした。それから約6年が経過し,民間企業の技術性能も進歩する中,新しい小水力発電設備も開発されているようです。また,国では,2016年に閣議決定された政府の地球温暖化対策計画では,上水道において小水力発電の再生エネルギー発電設備の導入を実施すると明記されています。そこで,本市が小水力発電を導入するに当たっては,水量や有効落差等の諸条件と同時に,設備を設置するためのスペース,そして,採算性等について総合的な検討が必要だと思います。
そこでお伺いします。
質問:
改めて,本市の水道事業における未利用エネルギーの一つである小水力発電の導入について,どのように考えておられるかお聞かせください。
答弁:
小水力発電の導入について,水道事業としてどのように考えているのかとの御質問にお答えします。
水道事業における小水力発電の導入に当たっては,発電時はもとより発電設備の異常時等においても,市民への給水に支障を来さないことが重要であると考えています。
本市では,小水力発電の導入に向けて,全ての水道施設を対象に水量や有効落差を調査し,設備の設置スペース,給水圧力への影響,採算性について検討を行っているところです。現在のところ,採算性の面から実施に至っていませんが,再生可能エネルギーの活用が地球温暖化対策という観点からも重要であると認識しています。
今後も,民間企業による技術開発の進展や水道施設を利用した発電事業への参入状況等を注視し,引き続き小水力発電の導入について検討を行っていきたいと考えています。
以上でございます。
6. 市立学校への太陽光発電システム導入について
最後に,市立学校への太陽光発電システム導入についてお尋ねします。
市立学校への太陽光発電システムの導入は,平成21年度の戸山小・中学校等の校舎の新築,増改築時から始まり,現在,導入された学校数は18校となっています。
そこでお伺いします。
質問:
40キロワットのシステムを設置している段原中学校について,令和元年度の発電実績,購入電力への影響,環境負荷への低減効果はどうなっているのでしょうか。
また,その実績を踏まえると,イニシャルコストの回収の見込みは立つのでしょうか,お聞かせください。
答弁:
市立学校への太陽光発電システムの導入についてお答えします。
40キロワットのシステムを設置している段原中学校の発電実績,購入電力への影響,環境負荷への低減効果,イニシャルコストの回収見込みについてです。
学校施設への太陽光発電システムについては,本市として設置する場合は,校舎の増築,新築時等に行うこととし,現在,17基を設置しております。そのうち12基は発電能力が10キロワットで,そのほか,校舎の新築時に40キロワットを4基,大規模な施設である特別支援学校には100キロワットを1基設置しております。
段原中学校は40キロワットを設置しておりますが,その令和元年度の年間発電量は6万8000キロワットアワーで,そのうち売電量は4,000キロワットアワー,金額にして9万円となっており,残りの6万4000キロワットアワーは学校で消費しております。
発電による購入電力への影響については,令和元年度の当該校の購入電力量が20万3000キロワットアワー,金額にして約450万円ですので,これを基に試算すると,太陽光発電によって購入電力量を24%,金額にして約140万円節減できたことになります。
環境負荷の低減効果については,環境省が示す石油火力発電において1キロワットアワーを発電する際に排出される二酸化炭素の量を表す計数,0.66キログラムを基に試算しますと,年間44.8トンの二酸化炭素排出を抑制できていることになります。
イニシャルコストの回収については,設置整備費が2730万円でしたので,令和元年度の発電による節減額140万円を用いて試算すると,約20年で回収できることになり,太陽光発電設備の法定耐用年数が17年ですので,おおむね同等の期間で回収されることになります。
以上でございます。
要望:
私は,市立学校への太陽光発電システム導入については賛成でありますが,太陽光設備の費用だけでなく,屋上に設置する際には,校舎の耐力度調査や必要に応じて補強などの費用も追加され,さらに,固定価格買取り制度,いわゆるFITの売電価格も下がっていることから,今後のコストメリットを期待することは難しいなと,現状では憂慮しています。しかしながら,国が地球温暖化防止対策として2050年までに脱炭素へかじを切られた今,未整備の市立学校全てとは申しませんが,太陽光発電システムの導入を精力的に進めるべきと考えます。なぜなら,学校教育の一環として,児童生徒が太陽光発電のメカニズムに直接触れることで,自然エネルギーへの関心を高め,地球環境の深い学びにつながると考えるからです。さらに,省エネなどの取組に関心を持った児童生徒が家庭に帰り家族へ,そして,家族から地域へと草の根の広がりが,脱炭素社会への大きな潮流を生むと考えられます。こうしたことから,市立学校への太陽光発電システムを引き続き導入されるよう,強く要望いたします。
全世界で目指す2050年のカーボンニュートラル脱炭素社会に向けて,地産地消の分散型エネルギー電源システムへ大転換のときが来ています。本市においても,さらに,再生可能エネルギーへの取組が加速されればと期待してやみません。
以上で質問は終わります。御清聴ありがとうございました。
最後に
要望:
御丁寧な御答弁ありがとうございました。
再質問はありませんが,何点か要望いたします。
初めに,大塚地区のまちづくりについて,松井市長の御答弁をいただき,ありがとうございました。大塚地区のまちづくり部会の皆さんの熱意が市長に届いたものと感じております。そして,市長の御答弁にもありましたが,物流の効率化は現在の課題であり,物流施設の需要は全国的に高まっております。この大塚地区が広島発未来物流センターとして発展できるよう,引き続き本市当局の皆様のこれまで以上の御支援をお願いいたします。
また,善當寺地区の開発については,引き続きのり面整備が開発と同時にできるよう,要望します。
次に,東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせて,ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展や被爆ピアノ演奏会の企画が成功されるよう,我が会派としてもしっかり応援いたします。そして,来日できない世界中の方々や多くの日本の方々も,ぜひ,被爆ピアノの音色をオンラインで配信して聞けるよう企画していただきますよう,重ねてお願いいたします。
次に,被爆二世の健康管理の冊子作成については,被爆者団体や被爆二世団体の方々の長年の御要望が実った形になりました。そして,国のひな形が示され次第,本市においてスムーズな御対応をよろしくお願いいたします。また,被爆二世の健診診断は健康管理を行う上で大変重要であります。まずは,被爆二世の方々への周知に御尽力をいただきますよう,お願いいたします。
次に,脱炭素に向けての本市の取組について,環境イベントや啓発活動,また,省エネ促進などが実施されていると御答弁いただきました,ありがとうございました。一つ要望いたします。脱炭素社会の構築は,行政,個人の取組もさることながら,企業の取組が鍵を握ると考えます。そこで,2050年までに企業が自らの事業用電力を100%,再生可能エネルギーで賄うことを目指すグローバル企業の国際的な枠組み,RE100が2014年からスタートし,国内ではソニーや富士通など,43社が参加しています。そこで,中小企業版となる日本独自の「再エネ100宣言 RE Action」の取組が昨年10月から始まっています。私は,そのアンバサダーとして本市も参加してはどうかと要望いたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
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