2023.9.25
9月25日、広島市議会 令和5年第4回定例会で、会派を代表して一般質問をいたしました。
質問内容は、以下の5項目です。
1.地域公共交通について
2.帯状疱疹ワクチンの定期接種化について
3.市立保育園で働く保育士への支援について
4.人間ドックの受診年齢の追加について
5.魅力ある高校づくりについて
1.地域公共交通について
始めに、地域公共交通について質問を致します。
本市は中心部から離れた場所に団地が多く開発され、私たち市民にとって、乗り合いバスや路面電車、JR 、さらにアストラムラインなどの公共交通は、生活に欠かせない移動手段となっています。
しかし、乗り合いバスの利用者は、平成3年の30万3千人をピークに平成14年まで減少の一途をたどりました。その後は約17万人程度で推移していたものの、令和2年には、新型コロナウイルス感染症の影響により利用者が激減したことで、現在も事業者の経営を圧迫しています。また、運転手不足や労働時間の問題、さらに人口減少の加速など、この先の事業環境の変化を鑑みると、民間事業者による公共交通の持続が大きな課題となっています。そこで、市民の皆様の移動手段である公共交通体系を存続するため、松井市長は、新たに乗り合いバス事業の共同運営システム、広島型公共交通システムを構築することを決意され、その実現に邁進されているところです。
加えて、令和2年12月の定例会において松井市長は、「脱炭素社会の構築に向けて取り組み、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロをめざす」と表明されました。
この広島型公共交通システムの構築は、公共交通の存続だけでなく、脱炭素社会を進める世界の潮流にも沿う、地球温暖化対策にもつながると考えます。
そこでお伺いします。
質問:
松井市長が進めようとされている「広島型公共交通システム」は、地球温暖化対策にも効果があると思いますが、本市のご見解をお聞かせください。
答弁:
地球温暖化対策は、人類の存続基盤に関わる重要かつ喫緊の課題であり、本市においても地球温暖化との関連が指摘される豪雨災害が頻発するなど、地球温暖化の進行は深刻さを増しています。
こうした状況を踏まえ、本市は、令和2年に表明した、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すという目標の実現に向け、令和4年に「気候非常事態宣言」を行うとともに、令和5 年3 月に「広島市地球温暖化対策実行計画」を改定しました。
ところで、現在本市では、事業者の経営努力だけで事業を存続させることが困難となっている公共交通について、行政も一定の責任を持ち、「社会インフラ」と捉えたうえで、これまでの「競争」から、「協調」して運用するものヘと舵を切り、持続可能で利用者にとって使いやすい「広島型公共交通システム」の構築に全力で取り組んでいるところです。
この取組の目指すところが公共交通を利用者にとって使いやすいものにすることであることに着目するならば、この取組は、例えば、免許証を返納しなければならない高齢者に限らず、マイカーの利用を自粛したいと考える幅広い年齢層の方々までもがマイカーを利用しなくても済むようになり、結果として、温室効果ガス排出量の削減にも寄与することになります。
こうしたことから、広島市地球温暖化対策実行計画では、温室効果ガス排出量削減の取組方針の一つとして「脱炭素社会の構築に向けた社会経済システムへの転換」を掲げ、その中で公共交通の充実・強化を図るとともに、その利用促進等に取り組むこととしているところです。
さて、本市は現在、持続可能な公共交通を維持するために、利便性や効率化を高める、公共交通を中心としたコンパクトなまちづくり、いわゆる集約型都市構造への転換を進められています。しかし、本市の居住地域の環境を考えると、交通結節点とのアクセスが乏しいエリアも多くあり、安全、安心な交通結節点へのアクセス環境の整備が求められています。
ご存じかと思いますが、交通結節点であるアストラムライン毘沙門台駅と毘沙門台中バス停をつなぐ連絡通路は、高低差約20メートルの長い階段を登りくだりしなければなりません。幼児や高齢者の方など誰もが利用しやすく、人にやさしいまちづくりのために、昨年6月の定例会で交通結節点であるこの連絡通路に、昇降機の設置などを要望したところです。この件に関しては、昨年同様、重ねて要望致します。
次に交通インフラの乏しい地域も課題であります。山あいの自然豊かな地域にある私の母校、戸山小・中学校は、小中一貫教育校となりました。また、本市には、阿戸小中学校と似島小中学校を合わせて、3校の小中一貫教育校が設置されています。
その戸山小中一貫教育校には、学区外から通学する小学生は2名であり、似島小中一貫教育校では、22名が通われています。その差は、公共交通のアクセスにあると考えられることから、戸山地域に通学しやすい新しい交通インフラの整備が必要と、私は考えます。また、その交通インフラは、地域住民の皆さんの、買い物や食事そして、通院や地域の相互交流などを支える、地域の活性化に欠かせない移動手段ともなります。
そこで調べてみると本市には、地域主体の乗合タクシー等導入・運行支援事業が展開されています。その事業は、地域が主体となって乗合タクシーを運行する場合の収支不足の3/4を補助する制度であり、この制度を活用して、地域が乗合タクシーを運行することも、交通手段の選択肢の一つであることがわかりました。しかし、この制度の活用に当たっては、収支不足の1/4を地域で負担する必要があるため、その財源確保が課題となっています。
こうした中、本市では、概ね小学校区を活動範囲とする広島型地域運営組織「ひろしまLMO」づくりを推進されており、今年度から新たに「ひろしまLMO」運営助成金が創設されました。この助成金は、「ひろしまLMO」の組織運営等に必要となる人件費に300万円、活動拠点の維持管理・運営費に200万円、地域課題を解決するための事業に100万円が、それぞれ上限として交付されるものです。そのうち、地域課題を解決するための事業への100万円は、ひろしまLMOや連携団体が行う地域課題解決のための取組が幅広く対象になると聞いています。私としては、この助成金が乗合タクシーを運行する際の地域負担分に充てられるのであれば、地域にとって安定的な財源確保につながるのではないかと考えています。
そこで、お伺いします。
質問:
「ひろしまLMO」が設立された地域において、乗合タクシーの運行に係る補助制度を活用する際の地域負担分に、この「ひろしまLMO」への助成金を充てることができるのでしょうか。
また、地域負担分に助成金を充てることができるとした場合、運行ルートに「ひろしまLMO」の活動範囲を超える部分が含まれていてもよいのでしょうか?
お聞かせください。
答弁:
議員御紹介のとおり、「ひろしまLMO」に対しては、本市からの出捐金を原資とする広島市社会福祉協議会の基金から、組織運営への支援のほか、地域課題を解決するための支援として、単年度で100万円を上限とする運営助成金が交付されており、「ひろしまLMO」が設立された地域において、生活交通の確保を地域課題と捉え、その解決のために乗合タクシーを運行することがLMOの事業計画に位置付けられれば、同助成金を地域負担分に充てることが可能となります。
また、「ひろしまLMO」が活動する地域を越えて乗合タクシーを運行する場合も、同助成金を充てることが可能となりますが、地域を越えて実施する事業となることから、費用負担のあり方については、LMO内のみならず、運行ルート沿線の他の地域とも十分に話し合っていただくことが重要であると考えています。
広島型公共交通システムの大きな枠組みについては良く理解できました。こうした大きな枠組みでの取り組みも重要である一方、アリの目での取組も重要と考えます。
本市では、マイカーから公共交通等への転換を促す取組として、地球温暖化防止につながる行動として、2005年度にノーマイカーデーひろしま運動を開始し、その翌年には「マイカー乗るまぁデー」と名称を変更し、現在も毎月2日、12日、22日を運動推進日として維続的に実施されています。
この運動は、地球温暖化防止についての市民意識の向上につながるだけでなく、公共交通維持への支援にもつながる取組であると考えていますが、コロナ禍の影響により、ここ数年は地域でのイベントの中止が相次いでいることや、公共交通の利用促進を目的に、商業者と交通事業者が連携して行う買物客を対象としたキャンペーンヘの補助事業についても応募がないなど、十分な啓発活動が実施できていないと聞いています。
この5 月には、新型コロナウイルス感染症が5 類感染症に移行し、少しずつ、以前の活動が取り戻されつつあると思います。
CO2 削減、すなわち環境改善と公共交通の維持存続の双方に効果的な取組みを、ぜひ、今後さらに広く皆様に周知していただくよう要望します。
質問:
マイカー乗るまぁデーの事業の目的とこれまでの取組や課題についてお聞かせください。
答弁:
マイカー乗るまぁデーは、「車に過度に依存するライフスタイルを見直し、市民一人ひとりが上手な車の使い方を考え、実践・体験することを通じて、地球温暖化の防止に貢献する行動の輪を広げていくこと」を目的として、平成18年度に事業を開始しました。
この事業では、毎月2日、12日、22日を実施日として定め、ウェブサイトでの広報や横断幕の掲示、商工会議所を通じた企業への周知、また、小学校における出前授業「交通と環境」の実施や、地域のイベントにおけるグッズ配布等の啓発活動を行っています。また、公共交通を利用して買い物をした方に景品が当たる「PASPY 乗って買ってキャンペーン」などのイベント実施等にも取り組んできました。
今後については、引き続き、これまでの地球温暖化防止への市民意識の向上に取り組むほか、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け厳しい状況に置かれている公共交通の利用促進に繋がる取組についても検討していく必要があると考えています。
質問:
環境改善と公共交通の維持存続の関係性をもっと周知してはどうかと考えるが見解をお聞かせください。
答弁:
議員御指摘のとおり、マイカー乗るまぁデーは、地球温暖化防止に加え、公共交通の支援にも繋がる有益な取組であると認識しています。このため、マイカー乗るまぁデーの啓発ポスターに公共交通の利用を促す内容を加えたほか、広島国道事務所と連携した渋滞緩和の取組において公共交通での時差出勤を呼び掛けるなど、マイカーから公共交通利用への転換を狙った啓発活動を進めています。
今後も、目的の達成に向け、環境にやさしい交通行動の実践の働きかけに加え、公共交通の利用促進にも意を用いながら、より一層効果的なものとなるよう取り組んでまいります。
2.帯状疱疹ワクチンの定期接種化について
次に、帯状疱疹ワクチンの定期接種化について質問致します。
先輩議員、同僚議員をはじめ理事者の皆さんの中にも、帯状疱疹にり患された方もいらっしゃるのではないでしょうか?また、ご両親やご兄弟、友人知人といった身近な方が、り患され帯状疱疹の痛みや症状の体験談など、お聞きではないでしょうか?
さて、国立感染症研究所、病原微生物検出情報「水痘抗体保有状況」の資料によると、日本人の成人90%以上は、帯状疱疹の原因ウイルスを体内に潜在していると言われています。また、加齢や疲労、ストレスや基礎疾患などで体力や免疫力の低下に伴い、ウイルスが活性化することが、発症の原因と言われています。そして、宮崎スタディーの疫学調査では、働き盛りの50歳を過ぎた頃から、発症率も高くなり、80歳までにおよそ3人に1人が発症するとも言われています。
つまり、私たちに身近な病気であることから、出来れば罹患前に有効的な予防が求められているのが現状です。
実は私の知人も帯状疱疹に罹患され、長期間苦しかった病状や帯状疱疹のワクチン接種について相談要望をお聞きしました。それがきっかけとなり、帯状疱疹の発症原因や症状そして全国のワクチン接種助成の動向などを調査研究し昨年、令和4年度6月議会の一般質問において、帯状疱疹ワクチン接種の公費助成制度の導入を、本市に訴えたところです。加えて、市民の皆さんに対して、帯状疱疹に関する症状や治療、予防方法などの基礎的な情報を周知する必要があると本市に訴えました。
さらに本市に対して、帯状疱疹の発症状況の現状把握とともに、独自に公費助成を実施されている各自治体の実態調査と合わせて検討いただければと要望も致しました。
そして、先ほどの公費助成の導入について本市は、「自治体独自の判断で行うのではなく、予防接種法に基づく定期接種として国が実施すべきである」との見解を示すとともに、帯状疱疹の基礎的情報の提供については、「本市のホームページ等を通じて発信することを検討する」との答弁がありました。これによって、本市のホームページの感染症情報・水痘(みずぼうそう)・帯状疱疹の基本的な情報の項目が追加され、現在、確認することができるようになりました。
さて、帯状疱疹ワクチンには、皮下注射1回のものと、筋肉注射2回のものがあります。皮下注射1回のものは、生ワクチンで接種費用は7000円から1万円程度、筋肉注射2回のものは不活化ワクチンで、2回分の接種費用は4万円から5万円程度となります。そのどちらもワクチン接種費用が廉価でないため、ワクチン接種を諦める市民の方もおられるとお聞きしています。
そこで、帯状疱疹ワクチンの接種費用の一部を自治体独自で公費助成している全国の自治体は、昨年の6月時点で30の自治体と述べましたが、本年9月5日現在では、281の自治体となり、全国1718自治体の16%を超える大きな広がりをみせています。
しかしながら、いまだ帯状疱疹ワクチンの定期接種化について、国を動かすまでに至っておりません。
そこで、手をこまねいて待っているのではなく、市民の声を直接国へ届ける思いから、私たち広島市議会公明党は、8月31日、当時の加藤勝信厚生労働大臣と伊佐進一副大臣に対して、「帯状疱疹ワクチンの定期接種化を求める要望書」を、提出し、予防接種法に基づく定期接種として国が実施するよう強く要望を致しました。
そこで、お伺いします。
質問:
帯状疱疹ワクチンの定期接種化について、本市としても国へ働きかけて頂きたいのですが、ご所見をお聞かせください。
答弁:
帯状疱疹ワクチンについては、現在、国の厚生科学審議会において、定期接種化に関する議論がなされているところであり、期待される効果及び導入年齢に関して、さらに検討が必要であるとされています。
このため、本市としては、全国市長会や大都市衛生主管局長会、全国保健所長会等を通じて、国に対し、有効性及び対象年齢などに関する検討を行った上で、早期に定期接種化することを要望しているところです。
引き続き、 国の動向を注視するとともに、様々な機会を捉えて、国に対する働きかけを行ってまいります。
さて、厚労省では、ナショナルデーターベース(NDB)を活用しながら、帯状疱疹による全国の疾病負荷の推計、費用対効果の試算等を平成30年6月にまとめられています。しかし、NDBを継続活用するための申請に時間がかかることから、自治体とも連携して、データ提供の協力を頂きたいと、伊佐厚労副大臣からお話しを頂きました。
そこで、帯状疱疹ワクチンの定期接種化の実現のために、お伺いします。
質問:
帯状疱疹ワクチンの定期接種化の議論を加速させるためにも、本市のレセプトデータを厚労省に提供する等、連携、協力を進めてはどうかと思いますが、ご所見をお聞かせください。
答弁:
国においては、定期接種化に関する検討の進め方として、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果に関するデータについて可能な限り収集を行い、客観的で信頼性の高い最新の科学的知見に基づき、厚生科学審議会において評価・検討を行うこととしています。
議員御提案の本市のレセプトデータの国への提供については、定期接種化に係る議論の加速に資するのであれば、望ましいと考えられることから、必要なデータの内容や個人情報の取扱い等について、国と協議の上、可能な協力、連携を進めてまいりたいと考えています。
3.市立保育園で働く保育士への支援について
次に、市立保育園で働く保育士支援について、お伺いします。
9月12日の中国新聞オピニオンの今を読むというコラムに、片山善博大正大学教授、地域研究所所長の記事が掲載されました。そこには、小中学校の教育現場は課題が山積である。教師の多忙化が言われて久しいが、むしろ深刻化しつつある。精神疾患で休職する教員は増え、教職に見切りをつけてやめる若い教師も後を絶たないという。学校はブラック職場との悪評を聞くのは、珍しくなくなった。と指摘されています。
実際、本市においてもこうした現状を私は見聞きしてきましたし、非常に残念であります。
このような現状に対し、本市の学校現場においては、平成30年12月に策定した「広島市の学校における働き方改革推進プラン」に基づき、「教職員の心身の健康保持」と「児童生徒に向き合う時間の確保」に向けて、教職員の役割の見直しや業務の効率化など、様々な取組を進めてきております。これにより、昨年度の「全教職員の年間月平均の勤務時間外の在校等時間」が、プラン策定前と比較して、約3割縮減されたなど、一定の成果が出ているとの報告があったところです。
そして、本年7月には、引き続き学校における働き方改革を推進していくために、策定された第2期プランには、「子どもたちにより良い教育を提供する」という教育の質の向上を目指すことに軸足を置き、学校と教育委員会、その他全ての関係者が一体となって取組を推進していくとされています。
第2期プランでは、22の取組項目が設定されていますが、その中の一つに、新たに「メンタルヘルス対策の充実」という項目が設けられています。
具体の内容について問い合わせてみたところ、メンタルヘルス対策として、教職員のメンタルヘルス不調を早期に発見するため、毎年度、全教職員を対象にストレスチェックを実施している他、教職員の心身の不調を防ぐことを目的に、産業医や保健師による教職員健康相談窓口を開設して、メールやLINE、電話等により随時相談に応じる体制をとっており、特に、新規で採用された教員等に対しては、幼児児童生徒又は保護者等の指導・支援に関わる悩みや不安、職場等の人間関係の悩み等について臨床心理士が個人面談を行うなど、メンタルヘルスの保持やメンタルヘルス不調の未然防止に取り組んでいることなどが明らかになりました。
引き続き、授業の質の向上や子どもたちの異変に早く気づき対応するには、先生方の心身の健康が一番であります。そこで、特に若い先生方の声を聴き、悩みや相談に寄り添う体制の充実を強く要望致します。
さらに、地域の子どもたちの笑顔輝く環境づくりは、学校任せではなく、保護者や学校運営協議会を中心に、地域の方々と一緒になって取り組むことが大切であり、その協力が調和すれば教育現場の課題解決にもつながると考えます。そして子どもたちの笑顔が輝けば、地域や学校が明るくなっていきます。教育現場に携わる先生方には、大変ご苦労をおかけしますが、本市の未来、そして日本の未来のために、どうかご尽力の程よろしくお願いいたします。
さて、本市の保育の環境に目を向けてみようと思います。令和元年10月から幼児保育無償化が制度化され、保育のニーズが高まる中、待機児童の解消が大きな課題でありましたが、本市の保育園数も309園と増え令和5年度の待機児童数は7年連続減少の3人となっています。
本市では近年年に70人程度の新人保育士さんが、夢と希望をもって園に配属されています。その新人保育士さんの大半は、子育て経験のない方であり、新しい職場で仕事に慣れるまで緊張しながら、朝から晩まで慌ただしい毎日に、四苦八苦されていると思います。そうした新人の保育士さんたちを支える体制が、必要と考えます。
そこで、お伺いします。
質問:
新人保育士さんや2年目、3年目の若手保育士さんの、仕事や人間関係の悩みなどの相談ができる窓口や心身の健康保持のために、本市としてどのような取組をされているのか、教えてください。
答弁:
本市においては、新規採用職員に対して、毎年5月に、チェックリストを用いて身体的・心理的健康状態を把握し、その結果を基に、必要に応じて専門カウンセラーによる個別面談や産業保健スタッフによる健康サポートを実施しています。
また、新規採用職員や2年目以降の若手職員を含む全ての職員に対して、職場の人間関係などの悩みをカウンセラーに相談できる健康相談室や心と体の健康相談を産業医や保健師等に相談できる窓口等により健康管理の支援を行っています。
加えて、公立保育園においては、各区に保育相談員として園長経験者のシニア保育士を配置しており、それぞれ区内の園を訪問し、若手保育士に対して保育上の悩み事を抱えている場合に助言などを行うとともに、継続的にそのフォローを行っています。
さらに、保育士の労働条件や職場の人間関係等に関する相談に対応するため、令和4年度から保育の相談窓口を設置し、保育士のメンタルケアなどに取り組んでいるところであり、引き続き、適切な健康管理に努めていきます。
保育園の運営は、幼稚園とは違い、ゼロ歳児の赤ちゃんの保育や、朝早くの受け入れまた、遅くまでの預かりそして、土曜日の保育勤務などもあり、保育士の勤務は、各園で毎月変則シフトの状態であります。さらに、去年今年と本市の保育園で事故が重なり、リスクマネジメントがさらに強化されている中、保育士さんは心身ともに大変であると推察致します。
さて、新規採用の保育士さんはこのような保育環境の中に、同世代のいない園にも配属される方もいるとお聞きしました。
そこで、お伺いします。
質問:
新人保育士さんのメンタルヘルスを考えると、保育士の世代が偏らないようにしながらも、例えば新規採用から3年間の保育士さんの配属については、同年代の保育士さんを、同じ園に複数人配属するなどの工夫が必要と考えますが、ご所見をお聞かせください。
答弁:
本市の市立保育園において、保育士等の職員配置を行うに当たっては、採用年次別の職員数のバランス等に留意しながら行っているところです。 議員御提案の、新規採用から3年目までの正規保育土2名以上を各保育園に配置することについては、現時点で、市立保育園87園のうち67園で行っているところです。同世代の保育士と共に保育のことを考え、相談しあえる職場環境づくりは、同じような立場で勤務する同世代の保育士同士で切磋琢磨して働ける職場風土の形成等にもつながる有効な手段であると考えますので、今後、そうした点も改めて意識しながら職員配置を行っていきたいと考えています。
4.人間ドックの受診年齢の追加について
次に、人間ドックの受診年齢の追加について、質問致します。
本市では、疾病の予防及び早期発見並びに早期治療を通じて、被保険者の健康の増進を図り、さらに国民健康保険制度の健全な運営に寄与することを目的として、人間ドックの受診の助成を、平成11年度から行っています。
また、似たような制度として、特定健康診査、後期高齢者に対する健康診査いわゆる『元気じゃ健診』とがん検診を本市は実施しています。
これらは、生活習慣病の予防や早期発見・早期治療を通じて、被保険者の健康の増進を図ることを目的としています。
このうち、特定健康診査の対象者は40歳以上の方となっており、人間ドックの受診対象者は、当年度に40才、45才、50才、55才になる方です。
また、人間ドックの検査項目は、特定健康診査の検査項目に、視力、聴力、腹部超音波検査等さらに、腎機能や肝機能についての血液検査の項目も追加されています。
たとえば腹部超音波検査は脂肪肝や胆石、尿管結石の早期発見などにつながります。
さて、「1日人間ドック」の受診率ですが、ここ5年間の推移を事前に調査しました。
以前は、8パーセント前後で推移していましたが、新型コロナ感染症の影響があった令和2年以降は、5パーセント台に低迷しています。
ちなみに、特定健康診査の受診率は20パーセントを超えています。
「1日人間ドック」では、一人当たり検診費用の7割を助成するものですが、対象者が国民健康保険の加入者となり、会社員などと違って、自分で検査機関を予約して行かなければなりません。
そのため、受診率を上げることはハードルが高いと思われますが、健康寿命の引き上げにも寄与することを考えると、受診率向上に取り組むべきではないかと思います。
「ヒジで軽く突くような小さいアプローチで、人の行動を変える戦略」、これは、ナッジ理論といいますが、これを利用し受けたほうがお得・受けないと損と思えるような広報、たとえば、説得の一つとして「今回受診しないと、今後4年間は全額自費(約4万円)で受診することになりますよ。」など、「1日人間ドック」の受診者を増やす取り組みが重要ではないかと思います。
そこでお伺いいたします。
質問:
本市は、疾病の予防及び早期発見並びに早期治療を通じて、被保険者の健康の増進を図り、さらに国民健康保険制度の健全な運営に寄与するために、ナッジ理論等を利用した広報で受診率を上げる取組をするべきだと思いますが、本市の見解をお聞かせください。
また、「1日人間ドック」の案内に記載されている対象者の標記の文字が小さく目立たないので、わかりやすい大きさにするなど、目立つようにするべきだと思いますが、本市の見解をお聞かせください。
答弁:
議員御指摘のとおり、1日人間ドックの受診を促すことは被保険者の健康増進を図り、国民健康保険制度の健全な運営に寄与すると考えられることから、受診の案内に当たっては、人の心理に働きかけ、よりよい選択ができるよう促すナッジ理論を活用するとともに、表記についても分かりやすく工夫して、効果的な受診勧奨に努めてまいりたい。
先ほども言いましたが、人間ドックの受診者は、当年度に40才、45才、50才、55才になる方です。
ここで疑問があります、どうして、55歳までなのでしょうか?
昔は定年が60歳だったので、55歳までだったのではないかと推察されますが、
しかし、現在は、雇用主は、定年を65才に引き上げるようになっていますし、70歳までの就業確保も努力義務となっています。さらに、現実として平均年齢も男女とも80歳を超えています。
まだまだ、現役世代といえる、60代の疾病の予防及び早期発見並びに早期治療は、健康寿命の引き上げにも繋がります。
そこでお伺いいたします。
質問:
広島市が行う、国民健康保険被保険者の疾病の予防及び早期発見並びに早期治療は、健康寿命の引き上げにも繋がります。是非、助成の対象年齢に、60才や65才も追加すべきではないかと思いますが、本市の見解をお聞かせください。
答弁:
議員御提案の60歳代への対象年齢拡大については、重要な御指摘であると認識しているが、現状において本事業の受診率が高くないことを踏まえ、まずは、現行制度における受診率向上策を図った上で、次の課題として取り組みたいと考えている。
要望:
「1日人間ドック」を受診すると、特定健康診査を受けたことになりますが、現状、特定健康診査の案内は4月、「1日人間ドック」の案内は7月と、両方の発送の時期が異なっており、市民から見るとわかりづらく、「1日人間ドック」の受診を促進する環境でもありません。双方が連携して、受診率を上げるため、さらに取り組んでいただくよう要望して、この質問を終わります。
5.魅力ある高校づくりについて
最後に、魅力ある高校づくりについて質問を致します。
教育委員会においては令和4年3月に「広島市ハイスクールビジョン」及びその行動計画である「ハイスクールビジョン推進プログラム」の一部改訂を行い、市立高等学校の将来構想についての方向性を示し、各学校と連携した取組を行っています。
参考として私の母校である広島市立沼田高等学校についてお話ししますと、令和5年度から「スポーツを通した地域の活性化に寄与する優秀なアスリートや、高い専門性を有し学校体育や社会体育で活躍する指導者を育成するためのコース改編」を実施し、専攻実技種目について、陸上競技と体操競技を拡充・追加するとともに、アスリート類型とスポーツマネジメント類型を設け生徒の多様な進路に対応する授業を行うなど、新たな体育コースとしてスタートされています。
本年度は、「専攻実技」や「キャリア探究」などの特色ある授業を行うとともに、施設の充実に向け陸上走路の改修や体操の床をはじめとした体操器具の更新を進めているなど、今後、魅力ある体育コースとして発展していくことが期待されるところです。
一方、気になることがあります。それは、寮における食事です。報道等で大きく取り上げられているとおり、沼田高等学校の寮の食事の提供については、株式会社ホーユーが行ってきましたが、令和5年9月1日から契約不履行となり、突然、食事の提供が行われなくなり、生徒や保護者が大変不安を感じているとお聞きしています。
そこでお伺いします。
質問:
沼田高等学校の寮の食事について、現在どのように対応しているかお聞かせください。
答弁:
沼田高等学校の寮の食事については、現在、同校の卒業生が経営する弁当事業者に御協力をいただき、緊急避難的に弁当の配達により土・日・祝日の夕食を除く1 日3 食が提供されています。 また、今後の安定的な食事の提供に向けては、現在、PTA において、新たな事業者との契約方法等について検討が進められています。こうした中、教育委員会や学校に対して協力の申し出をいただいている事業者も複数あり、これらの事業者の紹介も含め、PTA と連携しながら、新たな事業者の選定や契約手続きがスムーズに進むよう取り組んでまいりたいと考えています。
令和5年3月の予算特別委員会で我が党の石田議員が沼田高等学校の寮の食事について、提供方法や食費に関する質問をした際に、「沼田高等学校の寮の食事は、保護者が業者と直接契約をしており、委託された業者が学校の生徒食堂の調理場で調理し、朝食、昼食、夕食の1日3食の食事を提供している」との答弁がありました。
食事を安定して提供するために、今後、新たな業者と契約することが考えられますが、近年の物価上昇などの状況を踏まえると、安くて当たり前と受け止められていた給食業界の常識が変わろうとしており、沼田高等学校の寮についても、このままの状況では保護者負担が大幅に増える可能性があります。
かたや、広島県立高等学校の寮の食事については、寮を設置している県が一部公費を負担し管理運営していますが、沼田高等学校では、保護者が食事に関する費用を全額負担されています。公的負担の有無により、県内の公立学校間で、保護者の負担や食事の内容に格差が生じる状況は改善しなければなりません。
また、広島県議会においては、株式会社ホーユーと契約していた県立高校の寮の食事が停止したことに対し、極端な低価格で落札した点が指摘されています。保護者が全額負担する沼田高等学校では、当然できるだけ負担額の少ない業者の選定を優先的に検討することになりますが、この度のような事案が二度と起こらないようにするためにも、行政が責任をもって業者との適切な契約をおこなうべきであると考えます。そしてこの非常事態が起こっている今こそ、行政としての支援の必要性を痛感しております。
そこでお伺いします。
質問:
沼田高等学校の寮を設置している本市が、食事の提供について責任をもって関わっていくべきだと思いますが、どのように考えているかお聞かせください。
答弁:
沼田高等学校の寮は「遠隔地から通学する生徒一人一人の安定した生活基盤を確保することにより、規律正しい共同生活の訓練を通じて、人間形成を助成するとともに、学習環境を整え、教育目標の達成と体育コースの活性化を図る」ことを目的として、体育コースに在籍する生徒を対象として、本市が平成26年に追加設置したものです。
それまで沼田高等学校における食事の提供については、他の市立高等学校と同様、市が準備した校内の食堂スペースや設備を利用して、PTAが直接事業者と契約し、生徒に昼食を提供するための食堂を運営していました。このため、寮を市が設置する際、寮の食事提供についても、既存の食堂を活用することで、できるだけ保護者の負担を抑えつつ、体育コースの生徒に必要な食事を提供することができないか、教育委員会、学校及びPTAが協議を行った上で、事業者の了解を得て、PTA が食堂の運営とともに一括して同じ事業者と契約を行うこととなったものです。
この寮で提供される日々の食事については、スポーツに打ち込んでいる体育コースの生徒にとって、安定した生活基盤を確保するだけでなく、競技力向上に向けた体づくりや健全な成長を支えるという面においても重要であると考えています。
本市は現在、ハイスクールビジョン推進プログラムに基づき、沼田高等学校においては、体育コースの充実による魅力づくりに取り組んでいるところであり、こうした中で、この度寮の食事が提供されなくなるという事態が発生したことも踏まえ、体育コースの生徒に相応しい水準の食事を安定して提供していくための運営の在り方について、他の高等学校の寮の状況も参考にしながら、しつかり検討してまいりたいと考えています。
遠隔地から通学しなければならない生徒にとって、沼田高等学校の寮は大きな魅力の一つです。寮に入寮した生徒が、安心して勉学やトレーニングに励み、アスリートとして実績を積み上げ大いに活躍できるよう、寮生にとって生活の基盤である衣食住の一つである食事を安定して提供する体制を早急に整えていただくことを強くお願い申し上げ、私の一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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