2024.6.21
6月21日、広島市議会令和6年第2回6月定例会で、会派を代表して一般質問をいたしました。
質問内容は、以下の4項目です。
1.被爆80周年に向けての取組について
2.中央公園と広島広域公園の再整備について
(1)中央公園について
(2)広島広域公園について
3.市立学校施設の防災ソフト・ハード対策について
4.本市小学校における教科担任制について
1.被爆80周年に向けての取組について
始めに、被爆80周年に向けての取り組みについてお伺いします。
本年で被爆79年目を迎える広島は、昨年のG7サミットの効果もあり、国内だけでなく世界中の方々が平和記念資料館を訪れ、令和5年度の来館者数は、198万人を超え過去最多となりました。
そして、被爆の実相を目の当たりにしたその来館者は、戦争の悲惨さや残酷さ、そして平和の尊さを実感され、世界平和と核兵器の廃絶の心を強くされたと思います。こうした中、私たちの住む被爆地広島の使命は、生命の尊厳を根底に世界平和のスクラムを大きく広げながら、世界の連帯を強くすることであります。
また、本市松井市長が会長を務める平和首長会議は、その一翼を担う意義が高まっています。
さて、平和首長会議は、1982年6月の設立以来加盟都市が増え、令和6年6月1日現在では8,397都市と広がっています。また、役員都市としては、副会長都市の長崎市を含め11都市さらに理事都市であるブラジルのサントス市を含む9都市が、世界各地で様々な取組を主導して進めています。
その平和首長会議の加盟都市であるイタリア・ティエーネ市は、昨年11月広島市への訪問を計画されていましたが、隣国の事情で急遽広島訪問は中止となりました。実は、平成29年11月松井市長がティエーネ市関係者とローマで面会され、被爆樹木であるイチョウの苗木を寄贈された、ご縁がある都市でありました。引き続き、ティエーネ市の広島訪問が、実現されることを期待しています。
こうした平和首長会議加盟都市との相互交流が活発化することで、平和のスクラムが強固となることを願っています。
そこでお伺いします。
質問:
国内、外の平和首長会議加盟都市への連携について、これまでどのように図ってきたのでしょうか、教えてください。また、平和首長会議設立から40年以上になりますが、すべての都市との連絡が取れない等の課題などもあると思います。今後、どのように加盟都市を把握し更新するのでしょうか、お答えください。
市民局長
答弁:
1.平和首長会議事務局では、日常的に各加盟都市から情報提供していただいている核兵器廃絶や平和推進に係る取組の好事例の紹介や、事務局の主催事業への参加を呼び掛けるメールマガジンを、毎月、各加盟都市に配信するとともに、公開書簡や共同アピールを発出した際は、全加盟都市に個別に周知を図っているところです。
2.また、役員都市を対象とした理事会を概ね2年に1回、全加盟都市を対象とした総会を原則として4年に1回開催しているほか、毎年、国内外の加盟都市の職員をインターンとして受け入れること、さらに、今年度から、加盟都市とのオンラインミーティングを行うことなどにより各加盟都市との連携を図っています。
3.議員御指摘のとおり、加盟都市の中には、連絡先等を含むデータベースの情報更新が各都市によってなされていないために、連絡が取れなくなっている都市があります。こうした都市に対しては、メール以外にも、ホームページやSNSでの情報発信によるコンタクトを試みているところですが、今後、役員都市やリーダー都市の協力も得ながら、まずは各都市とのコミュニケーションが再開するよう努めることとしています。
質問:
さらに、これまでティエーネ市とはどういう交流をされているのでしょうか教えてください。また、平和首長会議の加盟都市であるティエーネ市のように広島市を訪問されるとなった場合、本市はどのような対応を考えているのか、教えてください。
市民局長
答弁:
1.ティエーネ市は、平成28年に本市が送った被爆イチョウニ世の育成を通して市民の平和意識の醸成に取り組んでおられ、平成29年に市長がイタリアを訪問した際、ティエーネ市の幹部と市議会議員に面会し、同市で育てられた苗木を寄贈していただき、その苗木をイタリア議会へ贈呈いたしました。さらに、ティエーネ市は平和首長会議主催の「子どもたちによる“平和なまち”絵画コンテスト」に参加してくださっており、一昨年度にはティエーネ市の参加者が優秀賞を受賞しました。
2.加盟都市の方々が本市を訪れる際は、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という普遍的・人道的なメッセージを世界に広げ、平和首長会議の活動に賛同し共に行動するティエーネ市のような都市を増やす好機であると捉え、様々な取組をしています。
3.例えば、平和記念資料館の視察や被爆体験講話の聴講など、被爆の実相に触れ、理解を深めてもらう機会を提供するとともに、原爆ポスター展や被爆樹木の種の配布など、平和首長会議の具体的な取組を改めて紹介し、各都市で主体的な取組を行っていただけるよう、働き掛けを行っています。
余談ですが、104年前の1920年1月18日からイタリアのローマを11機の飛行機が東京を目指し飛び立ちました。各国を中継しながら日本の領空に入り、浜田、三次、山陽に抜け姫路大阪を通過したと、外務省の記録に残っています。そして5月31日東京・代々木練兵場に2機の飛行機が着陸しました。ちなみに完全飛行は1機でありその飛行士が、ティエーネ市の出身でありました。着陸した代々木練兵場には約20万人が出迎えるとともに、その飛行士たちは皇居において、貞明皇后と謁見するなど、42日間祝賀行事が行われたそうです。その時に貞明皇后が2人の飛行士に直接渡された、子どもたちの絵と書をまとめた記念帖が、イタリアで発見され話題になっています。
さて、来年は核兵器廃絶、世界恒久平和の実現を目指して、大事な節目となる被爆80年にあたりますが、ただ節目の80年ではなく、被爆100年に向けてREスタートの年と捉えて、持続的なムーブメントを起こすことが、平和首長会議にとって非常に大切であると考えます。
例えば、平和首長会議の加盟都市に対しては、被爆の実相を直接触れて頂くよう、被爆地広島の訪問誘致活動を積極的に促すことや平和首長会議リーダー都市を中心に、原爆ポスター展のさらなる推進やAIによる被爆体験談の拡充そしてVRゴーグルの貸し出しなどの活用を広げることが重要であります。また、本市の平和施設においては、一度に多くの方がVR映像を鑑賞体験できる空間を整備してはどうかと考えます。
そこでお伺いします。
質問:
平和首長会議加盟都市の活動として、被爆80年を契機に平和首長会議はどのような取組みを考えているか教えてください。
市長
答弁:
川本議員からの御質問にお答えします。「被爆80周年に向けての取組について」のうち、「被爆80年を契機とした今後の平和首長会議の取組」についての御質問がございました。
1.混迷を極める世界情勢は、国家間の疑心暗鬼をますます深める一方で、世界恒久平和の実現と核兵器廃絶を願う気持ちは、平和を愛する世界中の人々の間で高まっており、市民の安全で安心な生活を守るという責任を負っている世界の166か国・地域の8,397の加盟都市の首長で構成する平和首長会議の果たす役割はますます重要になっています。
2.こうした中、平和首長会議は、市民社会の立場から党派を超えて、各国政府関係者等に働き掛けるとともに、NPT再検討会議など核軍縮に関する国際会議の場で、直接、世界中の為政者に核兵器のない世界の実現に向けた具体的な行動を要請しているところです。そして為政者の行動や政策転換を後押しするために、為政者を選び、支持する側の市民社会において平和意識を醸成し、核兵器のない真に平和な世界の創造に向けた思いを国際社会の総意にまで高めるための取組を進めているところです。
3.具体的には、平和首長会議が令和3年に策定したPXビジョンにおいて、市民一人一人が日常生活の中で平和について考え、行動することを奨励するため「平和文化の振興」を目標の一つに掲げ、市民社会における平和意識の醸成と核兵器廃絶に向けた為政者の政策転換を後押しする環境づくりを加盟都市との緊密な連携の下で取り組んでいるところです。
4.被爆80周年に当たる来年は、長崎市で開催される第11回平和首長会議総会に、できるだけ多くの加盟都市に出席いただき、「平和文化の振興」の取組を一層強化するための議論を行うことにしています。そして、リーダー都市を中心にその管轄区域内の加盟都市が更なる連携強化を図り、議論の成果を踏まえた地域主体での活発な取組を世界的に展開できるようにしたいと考えています。
また、核兵器のない平和な世界に向けた大きな潮流をつくるために核保有国の未加盟都市への加盟要請をさらに強化し、引き続き都市加盟1万の達成を目指してまいります。
その他の御質問については、関係局長から答弁いたします。
質問:
また、被爆の実相に触れることができるVRの活用について、今後どのように取組まれるのかお答えください。
市民局長
答弁:
1.VRを活用した取組としては、現在、本市を訪問される各国の来賓に対して、バーチャルリアリティ映像により、被爆の実相に触れていただく機会を積極的に提供しています。
また、今年度から6か国語(日本語、英語、ドイツ語、イタリア語、フランス語、スペイン語)のナレーション入りの5分間の被爆の実相のVR映像が組み込まれたVRゴーグルを10台借り上げ、本市が実施する海外及び国内の原爆・平和展などにおいて、多くの人に原爆投下時の悲惨さや現在の広島の状況を疑似体験していただくことにより、広島を訪れるきっかけとしてもらうとともに、平和についてより深く考える機会を提供しているところです。
2.今後は、平和首長会議加盟都市においても活用が図られるよう、理事会や総会の出席者にVRを見てもらうことや、希望する国内加盟都市に貸し出せるようにすることなども検討しています。
次に、被爆80周年を前にこれまでを振り返ってみますと、節目の年には様々な会議や行事が被爆地広島で開催されてきました。その中で核戦争による人類絶減の危険性を訴え、核兵器の廃絶や不戦を目指し世界の科学者たちが集い合う、パグウォッシュ会議世界大会もその一つであります。
このパグウォッシュ会議は、1955年ラッセル・アインシュタイン宣言を受け、1957年に設立され、世界平和の推進に大きな功績を残されています。また、ラッセル・アインシュタイン宣言に署名した11人の1人である、ジョセフ・ロートブラット博士とパグウォッシュ会議は、1995年にノーベル平和賞を受賞されています。
さて、このパグウォッシュ会議の世界大会は、1995年の被爆50周年と2005年の被爆60周年の節目に広島市で開催され、2015年の被爆70周年には、長崎市で開催されました。
そうした経緯もあり、日本パグウォッシュ会議の事務局の方から、2025年の被爆80周年の節目に、パグウォッシュ会議世界大会を再び広島で開催することを検討したいと伺っているところです。
そこでお伺いします。
質問:
被爆50周年と60周年の節目の年に、パグウォッシュ会議世界大会を広島市で開催されましたが、どのような意義があったとお考えかお聞かせください。
市民局長
答弁:
1.世界の科学者が参加し、核兵器の廃絶と戦争によらない国際紛争の解決を目指すパグウォッシュ会議は、その活動が各国の指導者や国連などの国際機関にも影響を与え、議員御紹介のとおり、1995年にはノーベル平和賞を受賞するなど、国際的にも高く評価されています。
2.被爆50周年に続き、被爆60周年という節目の年に世界の科学者が再び広島に集い、平和記念資料館の見学や被爆体験証言の聴講などを通じて被爆の実相に触れ、「ヒロシマの心」をしっかりと受け止めていただいた上で、「広島宣言」を発表し、核兵器を禁止する条約を締結することこそが、それぞれの安全を増進する最善の手段であると呼び掛けられたことは、核兵器廃絶に向けた国際世論を醸成していく上で大きな意義があったものと考えています。
被爆80周年にパグウォッシュ会議世界大会が広島で開催されるのであれば、20年ぶりとなります。
ついては、本市としても同会議の開催に対して、積極的な支援を検討頂くことを要望して、次の質問に移ります。
2.中央公園と広島広域公園の再整備について
(1)中央公園について
次に、中央公園と広島広域公園の再整備の、中央公園ファミリープールについて質問いたします。
都心部の大規模公園として中央公園の一角にある中央公園ファミリープールは、市民の文化、レクリエーション活動の振興、健康、体力の増進を図り、心身の健全な発展に資することを目的として、昭和54年7月に開園しました。その園内は、掘り込み式の流れるプール、長さ50メートルの多目的プールに加えて、こどもプールを常設し、子ども連れの家族だけでなく、孫を連れたおじいちゃんおばあちゃんなどの親子三世代や中高生そして大人も集う、にぎわい施設となっています。
また、都心部に位置するため公共交通の利便性が高い中央公園ファミリープールは、7月から8月の僅か2か月間の営業期間であるにも関わらず来場者は、ピーク時で約30万人、その後少子化が進むにつれ減少するも、コロナ禍前は約11万人、昨年は約10万人が来場し、開園以来今日まで延べ約680万人の来場者が、それぞれの夏の思い出を刻んだ場所でもあります。
先日、休園中、誰もいない中央公園ファミリープールを見ながら、今年の夏も、多くの子どもたちのにぎわう姿を想像すると、52歳の私の心もワクワクしてきました。そうです、この場所は、まぎれもなく子どもたちやその家族そして昔利用した大人たちにとって、広島の暑い夏に欠かせないレクリエーション施設であり、中央公園ファミリープールは、なくてはならない本市のシンボル、そして風物詩であります。
一方で、令和3年度の都市活性化特別委員会において、中央公園内の公共施設の集約化等に向けた検討の内、中央公園ファミリープールの集約化等の方向性について、開園から45年目となる施設の老朽化やその他の設備も大規模な更新が必要であること、また駐車場不足や稼働期間が2か月であり非効率性を解消すること、そして四季を通じて外遊びが楽しくてきる環境づくりなどの課題が示されました。
さらに、抜本的な見直しと併せて、中央公園外への移転や施設の廃止等の検討を示された時には、その廃止の文字が色濃く私の脳裏に残り、出来ることならこの場所に、掘り込み式の流れるプールは残したいと強く思いました。
そこから、都市活性化特別委員会において、市民の皆様からのご意見や自身の利用体験を通しての質疑を繰り返し、また同じ悩みを抱える他都市の現状を視察するなど調査研究を重ねて参りました。
そこで、お伺いします。
質問:
中央公園ファミリープールの集約化等の方向性について、存続か廃止かの前に、親子や大家族そして友人などが集い合うレクリエーション施設・中央公園ファミリープールの役割について、今日までの45年間を本市はどう評価しているのかお聞かせください。また、未来に向けてどういった施設にしていきたいのか、お聞かせください。
都市整備
局長
答弁:
1.ファミリープールが開業した1979年頃の本市の状況は、地方中枢都市として、来訪者も居住人口も増加の一途を辿っており、国民が生活において重点をおきたい分野が「食生活」から「レジャー・余暇」へと変化してきたこともあって、プール開業直後は年間利用者約30万人、その後も年間利用者10万人以上を維持し、多くの市民に親しまれ、市民生活に楽しみや潤いを提供してきた施設であると考えています。
2.また、これまでにない少子化に伴う人口減少が進行している中、本市では、旧来のまちづくりの発想を転換し、「世界に誇れる『まち』広島」の実現を掲げ、持続的な発展を目指すまちづくりを進めており、開業から半世紀を迎えたファミリープールについては、在り方を抜本的に見直す時期が到来していることから、現在、新たな施設の整備に取り組んでいるところです。
3.在り方の見直しに当たっては、これからの持続的な発展を目指す広島の礎となる子どもを安心して産み育て、子どもが健やかに成長できるまちづくり、結婚や出産等に希望の持てる若い世代にとって魅力あるまちづくりを着実に進めるための一環と位置付けたうえで、ファミリープールを含むエリア全体を、親を含めた保護者や子どもたちが将来に夢や希望を持てるワクワクする、日常的に安心し平和を実感できる場としていくことを目指し、様々な機能を持つ居場所を提供できるよう、新たな施設を整備することとしています。
さて、本市が集約化等の方向性で示された課題である都心の一等地にも関わらず、年間で2か月間しか稼働しない非効率性は致命傷ですが、そうした様々な課題の解決案として、3点訴えてきました。
1つ目は、近年の気温上昇により夏が長期化しているため、稼働日数を増やすこと。
2つ目には、紫外線の強い時間帯を避けたニーズや、仕事帰りの方でも利用したいニーズを取り込むため、18時までの営業時間を延長すること、そして3つ目に、宿泊された旅行者も利用できる屋外ナイトプールなど、非効率性を補うための利用者を増やす提案をしてまいりました。
現在、中央公園ファミリープールの指定管理者は、広島市みどり生きもの協会でありますので、こうした様々な課題を積極的に検証して頂きたいと思います。
そこで、お伺いします。
質問:
先に述べましたが、気温の上昇による夏の長期化やニーズの多様化に応えるレクレーション施設の運用として、中央公園ファミリープールの稼働期間や営業時間の最適化を検討するため、実証実験を試みてはどうかと思っていますが、本市の見解をお聞かせください。
都市整備
局長
答弁:
ファミリープールにおいて、気温が高い6月や9月まで開園期間を延ばすことや、日没時間を考慮し19時頃まで営業時間を延ばすことが試験的にでも実施できないか、今後、指定管理者と協議してまいります。
一方で、本市は中央公園ファミリープールの場所を、子ども連れが四季を通じて様々な遊びや体験を楽しみながら学ぶことができる空間施設として活用することを目指されていますが、他都市では休園中の掘り込み式プールの活用について、釣り堀やカヌー教室をするなど利活用に工夫をされていました。
そこでお伺いします。
質問:
本市は、中央公園ファミリープールの掘り込み式流水プールを残すのでしょうか。残すとした場合、夏期以外の活用として、本市はどのようなことを検討されているのか、その点もお聞かせください。
都市整備
局長
答弁:
1.新たな施設は、レジャープール機能を有する施設とすることとしていますが、プールの種類や、常設・仮設といった設置形式等については、今後、検討を深めていくこととしています。
2.具体的な内容については、本年1月に実施した市民アンケート調査において、流水プールのニーズが最も高く、続いて、ウォータースライダー、水深の浅い乳幼児用プールのニーズが高い結果であったことを踏まえつつ、本年度行う事業者ヒアリングで年間を通した活用方法のアイデアを聴き取り、設置費用や維持管理費用を比較しながら、検討するよう考えています。
質問:
また、広島の発展の礎となる子どもたちや子育て世帯にとって、ワクワクする魅力的なまちに資するためには、様々な機能が備わる施設整備について、着実な実施が望まれますが、その整備手法や財源はどのように考えているか、お聞かせください。
都市整備
局長
答弁:
1.整備手法や運営手法については、本年度、業務発注のうえ検討することとしており、これまでの公設公営や、PFI方式など官民連携手法について比較検討するよう考えています。
2.手法の比較にあたっては、本市支出額の圧縮や利用料金額、持続的な運営といったことを勘案しながら、より良い手法を選択していきたいと考えています。
3.また、財源としては、国との協議を今後本格的に進めることを考えており、国庫補助金を活用し、着実に事業を進めていきたいと考えています。
最後になりますが、都心部の回遊性やにぎわいの創出、そして周辺地域の活性化のトリガーとなり得る、子どもから大人までが四季折々の多面的な機能を有するレクレーション施設として中央公園ファミリープールの存続に期待が高まります。
どうか、広島市民が自慢できるシンボリックな中央公園ファミリープールとして再整備されることを要望し、中央公園についての質問を終わります。
2.中央公園と広島広域公園の再整備について
(2)広島広域公園について
次に、広島広域公園の再整備について伺います。私の地元である安佐南区沼田エリアには、大規模公園の広島広域公園があります。その広域公園を本拠地としていたサンフレッチェが、エディオンピースウイングヘ本拠地を移し、広島広域公園の施設活用が課題となっています。一方で、広島広域公園を利用されている地元の方からは、補助競技場を夜でも使えるよう、照明を付けてもらいたいという声や、コンサート以外の様々なイベントも増やしてもらいたいという声が多く寄せられています。
実際に、昨年度地元で開催されたワークショップの中でも、新たな魅力づくり策として、補助競技場への照明設備の整備や、多くの人が交流できる地域レベルのイベントの開催などがあげられました。
そこでお伺いします。
質問:
先程、中央公園ファミリープールにおいて、気温の上昇による夏の長期化やニーズの多様化に応える検討をお願いしましたが、広島広域公園においても、補助競技場への照明設備の整備による夜間利用の拡大や、昨年度設置した大型映像装置を競技以外にも活用し、イベントを開催するなど、今ある設備を有効に活用することで、更なる利用拡大ができるのではないかと考えますが、その点について、市の考えをお聞かせください。
都市整備
局長
答弁:
1.広島広域公園については、昨年度、ワークショップを3回開催し、地元等からいただいた様々なご意見を踏まえ、魅力づくり策を取りまとめ、本年6月に広島広域公園の新たな魅力づくりを推進するための協議会を設立したところです。
2.今後は、地元や企業、大学等と行政が連携を強化し、適切な役割分担の下、ソフト・ハード両面に係る具体的な方策の立案・実施に取り組むこととしています。
3.補助競技場の照明設備の整備については、委員ご指摘のとおり、夜間の利用促進とともに、熱中症対策としても有効なものと考えており、協議会の中で具体化のための方策について検討してまいります。
4.また、昨年度設置しました、第一球技場及び第二球技場の大型映像装置についても、設備の有効利用として、競技以外の活用も視野に入れており、年間を通した賑わいづくりのアイデア、例えば、映画鑑賞や天体観測の場としての活用を検討しているところです。
5.引き続き、広島広域公園が多様なレクリエーション活動や競技大会などの場となることはもとより、地域住民をはじめ、広く市民に利用され、にぎわいあふれる公園となるよう、新たな魅力の創出に取り組んでまいります。
3.市立学校施設の防災ソフト・ハード対策について
次に、市立学校施設の防災ソフト・ハード対策についてお伺いします。
近年、地球温暖化や気候変動の影響により、干ばつによる水不足そして、線状降水帯による洪水や土砂災害、さらに大規模な森林火災など自然災害は世界各地で頻発化しています。そうした中、昨年7月、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「地球は沸騰化の時代」に入ったと警告されました。さらに、国連広報センターは生物種についても、記録が残っている他の時期と比べて1,000倍のペースで世界から生物種が失われ100万種の生物が今後数十年以内に絶滅する危機に瀕している、と警鐘を鳴らしています。
私たちは、このような地球温暖化問題に対して、これまでよりも高い関心と課題解決の意識を持ち、温暖化を抑えるための強い行動をとらなければなりません。その一方で温暖化による災害がいつ何時、起きるかもしれない現実に対して、ソフトとハードの両面で命と財産を守る災害に強い街づくりを、本市は加速していかなければなりません。
さて、市立学校の施設は、洪水や地震の災害発生時に指定緊急避難場所や指定避難所として開設される学校も多くあるなかで、土砂災害特別警戒区域いわゆるレッドゾーンとして指定されている学校施設もあることから、学校施設の安全対策として防災対策も講じなければならないと思います。
そこで、お尋ねします。
質問:
市立学校施設において、土砂災害の特別警戒区域いわゆるレッドゾーン区域を学校敷地内に含む学校は、何校ありますか?また、それらの学校の防災対策として、どのように取組んできたかお答えください。
教育長
答弁:
1.現在、敷地の一部が土砂災害特別警戒区域に指定されている本市の学校施設は、幼稚園1園、小学校33校、中学校33校、高等学校2校の合計69園校あります。
2.それらの学校に通学する児童生徒等の安全確保については、非常変災時における登下校時の対応に関するマニュアルを作成し、気象警報等の状況に応じて、自宅待機、臨時休業及び早退の措置を取ることとしています。
また、各校の実情に応じた避難マニュアルを作成し、必要に応じて、上階など校舎の安全な場所への避難訓練を実施し、訓練の実施後には課題を検証し次年度の訓練にいかすなど、より実効性のある避難体制の確立を図っているところです。
3.なお、校舎等の改築を行う際には、既存敷地内でできるだけ建物の配置を工夫するなど、最大限の配慮をしているところです。
さて、私の子どもも通っている伴中学校の裏山は、急傾斜地の土砂災害特別警戒区域であり、その付近は、土石流の土砂災害特別警戒区域にも指定されています。その伴中学校の裏山を管理・所有しているのは、広島市教育委員会及び都市整備局と承知しています。
このように本市及び教育委員会の管理・所有する山や法面が要因でレッドゾーンの区域を学校敷地内に含む学校は多くあると考えますので危険箇所の把握を行った上で、児童生徒等が安全に学校生活を送ることができるように努めていただきたいと要望致します。
さて伴中学校の裏山は、ひろしま西風新都推進計画2013の善當寺工区として開発計画があり、現在、西風新都インターチェンジから雲願寺に向けての道路整備が先行的に進んでいます。いわゆる、西風新都環状線としての都市基盤整備です。
そこでお伺いします。
質問:
善當寺地区の開発計画は、どのような状況でしょうか。また、道路整備の計画はいつごろの完成を考えているのか教えてください。
都市
整備局長
答弁:
1.善當寺地区の開発計画については、「活力創造都市“ひろしま西風新都”推進計画2013」において、善當寺工業・住宅地区として位置づけ、事業を進めることとしていましたが、平成28年に開発予定事業者が解散し、開発の見通しが立たなくなりました。
2.このことから、西風新都環状線善當寺工区の道路整備を開発に先行し、現在、西風新都インターチェンジに近い橋りょうの下部工事を進め、令和12年の完成を目標に事業を行っています。
さて、その開発計画を基に、本市は地元地域の声を聞き取りしながら道路整備計画案を作成してこられました。そして、地元地域の方は、伴中学校の裏山が要因となっている急傾斜地の土砂災害特別警戒区域や土砂災害警戒区域への防災対策と開発が同時にできるよう懇願されています。そこで谷口修元市議は地元の声を代弁し何度も一般質問され、令和2年12月には私も、一般質問に立ち訴えてまいりました。
その根底にあるのは、児童生徒が通う学校施設を安全で安心できる環境へと近づけることであり、今回のような開発と防災対策が一致することは、地域の方々が強く望まれております。
また、伴小、伴中学校の真上にある善當寺工区には住宅地の予定もあり、そこから通学する児童生徒を想像すると、開発としてのコスト削減だけでなく、将来にわたるまちづくりの全体最適化が非常に重要であると私は考えます。
そこでお伺いします。
質問:
伴中学校施設の防災対策と隣接する開発が一致するためには、それぞれの部署が横断的に連携をとることが必要であると考えますが、どのように考えているのか教えてください。
都市
整備局長
答弁:
1.善當寺地区については、先ほど答弁したとおり、道路整備を先行して行っており、これにより、民間の開発意欲が高まってきていると考えられ、複数の事業者が開発について検討を行っています。
2.この民間開発が実現化できれば、地域が要望されている伴中学校における土砂災害に対する安全性の向上に資するものと考えています。
3.このため、善當寺地区の民間開発の実現化に際しては、開発区域周辺の土砂災害に対する安全性の向上を含め、立地の特性を活かしたまちづくりが重要であると考えており、引き続き関係部署とも連携を取りながら、道路と民間開発の一体的整備の実現可能性について、検討を進めていきたいと考えています。
4.本市小学校における教科担任制について
次に、本市小学校における教科担任制についてお伺いします。
皆様もご承知の通り、全国で学校へ行けない子どもたちが毎年増え続けています。文部科学省は昨年、令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策についての資料の中で、不登校の児童生徒の数は、小中学生で29万9048人の過去最多と報告されました。また、本市においても同様に不登校児童生徒数は小中学生で3229人の過去最多となり、この社会現象を私は危惧しています。
そこで、本市小学生の不登校児童数において、令和元年と令和4年で比較しますと、令和元年は668人、令和4年では1333人と3年間で約2倍の増加となりました。また学年別で比較してみると、令和元年の1年生は21人、令和4年では80人となり約4倍の増加は特筆すべき値であります。さらに令和元年の2年生は62人であったのが、令和4年は134人と2倍を超えるとともに、他の学年の比較についても、3・4年生では約1.8倍、5・6年生は約2倍と増加してまいります。このことから、進級に従い減少する傾向はなく増加していく現状を私たちは真摯に受け止め、これからの広島そして日本の未来を担う子どもたちに対して、もっと真剣に考え、課題克服のため強い決意で取り組まなければならないと考えます。
そこで、お伺いします。
質問:
本市の不登校対策における、これまでの取組と今後の課題についてお聞かせください。
教育長
答弁:
1.本市では、まず、不登校の未然防止に向けて、全ての児童生徒にとって、自己の存在感が実感でき、安心して過ごすことができる、支持的風土の醸成された学級・学校づくりに取り組んでいます。
また、悩みや困り感を持つ児童生徒を早期に発見できるよう、定期的なアンケートや教育相談を実施し、児童生徒の実態把握に努めています。
2.さらに、不登校及び不登校傾向の児童生徒が、教室以外でも安心して過ごすことができる居場所として、全ての小・中学校の校内に「ふれあいひろば」を設置し、児童生徒の状況に応じた支援を実施するとともに、市内5か所に「ふれあい教室」を設置し、学校に行くことが難しい児童生徒に対して、社会的自立を目的とした学習活動や、グループ活動等を行っています。
3.こうした中、本市の不登校児童生徒数は、近年増加を続けており、不登校の未然防止に向けて、より一層児童生徒が安心して過ごすことができる学級・学校づくりや、一人一人が困難やストレスに対処する力を高めることに努めていくとともに、登校が難しい児童生徒に対しては、それぞれのニーズに応じた多様な届場所の確保やICTを活用した支援内容の充実などに取り組んでいきたいと考えています。
質問:
また、先に示したデータからも、本市の不登校対策においては、低学年の段階での未然防止の取組が非常に重要であると考えますが、教育委員会としてどのようなことに取り組んでいるのか、教えてください。
教育長
答弁:
1.低学年段階での不登校の未然防止に向けては、幼稚園・保育園等から小学校への切れ目のない支援が重要であると考えており、各小学校では、教育委員会が示したフローチャートの流れに沿って、入学前に、各幼稚園・保育園等が小学校への引継ぎが必要であると判断した幼児について、その幼児の特性や家庭での支援の状況などを直接聞き取って幼保小連携シートを作成し、学校内で共有することにより、スムーズに小学校生活に適応できるよう努めています。
2.また、各小学校は、入学後に全ての児童が新しい学校生活に適応していくためのスタートカリキュラムを作成し、異学年交流や多くの教職員、友達と関わる活動を通して、学校の楽しさを感じ、安心して学校生活を送ることにつながる取組を行っています。
3.そうした中で、仮に児童の欠席が続くような場合には、早い段階で担任が家庭訪問等を行い、保護者と連携して対応に当たるとともに、家庭への支援が必要と思われるケースは、各学校からの申請に応じてスクールソーシャルワーカーを派遣し、関係機関とのケース会議を関催するなどして、必要な支援につなげているところです。
さて、今年4月に、すべての子どもの学習権を保証する学校をつくる理念をもとに、大空小学校の校長として勤務された木村泰子元校長先生と懇談の機会を頂き、児童生徒の無限の可能性を開く公教育環境つまりパブリックスクールの役割や、障がいのある子もない子も同じ場で学ぶインクルーシブ教育、そして、教職員と保護者だけでなく地域もつながり、みんなの学校をつくるなど、木村先生の体験を通して学ばせて頂きました。
さらに、不登校児ゼロの学校づくりを展開した大空小学校では1学級に1人の担任を配置する学級担任制を廃止し、児童の6年間の成長を全教職員で見守る学級担当制を取り入れて運営されています。
この学級担当制とは、従来のように1人の先生が年間を通して一つのクラスの担任を務める固定された担任制とは異なり、学年又は学年を越えて、複数の教員が、ローテーションでクラスを担任する取組です。そのメリットは、子どもたちにとって担任の当たりはずれが無くなることや、子どもたちが複数の先生と関わることで励まし手が増えることであり、そのことにより、子どもたちの自己肯定感も高まるだけでなく、ひとりで悩まず自らが話しやすい先生を選択し相談することにもつながります。さらに、教員一人一人が全児童を見守るというマインドになることで、教員同士が学級という垣根を超えることへの遠慮がなくなり、子ども達の心配事も教員同士で共有することや担任の教員一人で問題を抱えない協力体制も自然にうまれています。しかも、学級数が多い学校でも、学年担当制として工夫もできる取組みは、革新的であると私は感じています。
国においても、文部科学省が、令和4年度より小学校高学年における教科担任制の本格的な導入を進めています。その目的として、授業の質の向上、小中学校間の円滑な接続、教師の負担軽減とともに、多面的な児童理解が挙げられており、先に述べた児童の6年間の成長を全教職員で見守る学級担当制の役割と重なる部分があると思います。
さて、本市においても令和4年度から教科担任制を5・6年生で導入しているとお聞きしました。保護者の方からは、教科担任制は、専門性の高い教師による授業は評価している声もありますが、一方で、教員の持ち時間や教材研究を効率的に行うことができるなどの、教える側の教員に重点がおかれていることで、子供の視点がないとの不満の声も聞きました。
しかし、教科担任制は、教員はもちろん、子供たちの視点から見ても、大きな可能性をもった手法だと思います。さらに教科担任制をもとにして、学校長のアイデアと工夫によって、大空小学校のような学級担当制のように様々な取組を進めることもできます。今後は、高学年だけでなく、現在国も実施を検討している中学年に、さらには低学年でも、積極的に教科担任制の導入を検討する必要があるのではないでしょうか。
そこでお伺いします。
質問:
本市で取り組んでいる小学校高学年の教科担任制の取組内容と、その成果と課題について、お聞かせください。また、高学年以外の中学年や低学年に対しての今後の展開について、どのようにお考えかお聞かせください。
教育長
答弁:
1.本市の小学校高学年における教科担任制につきましては、国の加配措置を活用し、加配教員が教科担任として、国が優先的に専科指導の対象とすべき教科としている外国語、算数、理科、体育を中心に実施しています。また、学級担任が受け持ち教科を交換し合う授業交換を行う等、各校が実情に応じた教科担任制の取組も進めているところです。
2.こうした取組の成果といたしましては、担任の持ちコマ数が軽減され、教員の負担軽減が図られたことや、学級担任間で授業を交換する場合には、担当する教科が絞られることで、授業準備の効率化が図られ、教材研究の充実につながっていることなどが挙げられています。また、複数の教員が指導に関わることにより、児童を多面的に見ることができ、児童への肯定的な評価や細やかな支援の充実が図られていること、学級担任が授業交換を行うことで、学級の間題を担任だけで抱えこまず、学年全体で問題解決に当たるようになったことなども成果として挙げられています。
一方で、課題としては、学級担任と教科担任が児童の学習状況等を共有する時間が十分確保できないといったことなどが挙げられています。
3.中学年・低学年への教科担任制の導入については、教員配置や時間割等の工夫により、取組を開始している学校もあり、それらの学校からは、学年全体で児童を育てていくという意識をもつことができ、安定した学級及び学年運営につながった等の効果が挙げられています。今後はこうした学校の取組の好事例等を校長会等で周知するとともに、引き続き、国へ加配定数の増加を要望する等、学校の取組を支援してまいりたいと考えています。
最後に、低学年の子どもたちは、多くの先生やサポーターに見守られ、励まされる環境が、必要であると私は思います。そして、子どもたちが安心できる学校となれば、学校生活も楽しくなるだけでなく、子どもたち自身が持っているレジリエンス力、困難を乗り越える力が発揮され、自己肯定感が高まるのではないでしょうか。
そこで、今本市で進められている、教科担任制が、子どもたちが安心できる学校づくりにつながることを期待して、私の一般質問を終わります。
ご清聴、ありがとうございました。
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